タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/09/06
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────結婚してください!
声変わりもまだだろう高く元気な大きな声が一面に響いて微笑ましいなと思ったのも束の間、振り向いた先で愛を叫ばれている相手が想いを寄せるレディだったことに気付いて一瞬で表情筋が引き攣る。優しいレディはしゃがみこんで視線を合わせて頬を緩ませている。微笑ましいと思ってるんだろう。まだきっと一桁も生きていない子どもが結婚をしてくれと告白をしている。微笑ましい。微笑ましい、はずだ。周りの島民だってにこにこと見守っている。子どもの戯言だ。わかってる。
元気で大きな声は第一声で使い果たしたのか真っ赤な顔で唇を震わせながら一生懸命何事かを話しているのにおれの耳には届かない。レディには届いているのか合間合間にこくこくと顎を引いて相槌を打つ優しい姿が目に入る。ずっと微笑ましそうに頷いていたレディがぱち、と目を瞬かせて驚いていて、レディの視線の先にいる子どもの手の平に乗せられているものを見てぶわりと感情がたかぶった。
ついさっきまで微笑ましそうに聞いていたレディの表情がほんの少し困惑を滲ませていて、その隙にたおやかな指先が持ち上げられる。子ども相手に大人気ないだのなんだの考える暇なんてなかった。その小さな手のひらの中にある、指輪を、レディの指に通すわけにはいかなかった。
ぶわりと風を巻き起こすほどのスピードでレディと子どもの間に割り込み、しゃがみこんでいたレディを抱き上げる。近くで見ればなんてことないオモチャの指輪で、だけどそんなオモチャの指輪でも、レディを想う気持ちはきっと本物だから。
「わ、え、さ、サンジくん?!」
「ごめんね、レディ、こんなことする権利なんてないのはわかってるけど、それでも、目の前で好きな子が他の野郎に指輪を渡されるところなんて見たくなくて」
ぽかん、と口を開けたままおれを見上げる子どもに申し訳なく思う。レディを想う気持ちは同じでも、おれと違ってまっすぐ気持ちをぶつけられる勇気のある男の邪魔をした。お前の方がかっこいいよ。でもレディは渡せない。渡したくない。ごめんな。
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