タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/09/09
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「ねえねえ」
「んなァに?!」
くるくるスープを煮込んでいるおれを見ていてもいい?と聞かれてこくこくと頷いたのはついさっきのことで。いつも煌びやかな瞳に輝くスープが反射して更に美しく光るレディの瞳に目をハートにしながら手だけはしっかりことことのスープをかき混ぜていた。そんなおれの横に立つレディがおれを見上げて声をかけてきてすぐさま反応する。楽しそうに頬を緩めるレディのかわいさといったら。
「この美味しそうなスープ、あと何時間煮込むの?」
「ええと、レディが来る前からやってたし今は仕上げ段階だから20分もかからないよ」
なァに?とでろでろに溶けた声が出たのは自覚済み。かわいいレディの本題が気になってレディを見つめれば、内緒話でもしたいのかふたりしかいないのに口元に手を添えていた。そのかわいさに心の中で身悶えながら腰を曲げてレディの口元に耳を傾ける。何を囁かれ、
────ちゅ。
「へぁ?!」
耳元を通り過ぎて頬の皮膚に柔らかな感触と、小さな音が立てられて間抜けな空気のような音が漏れる。とたたたた、と床を走る音に固まって白黒する視線をそれでも必死で向ければレディの背中。扉に手をかける前にくるりとこちらを向いたかと思えばほんの少しピンクに染まった頬と、真っ赤な唇に視線がいってはくはくと口を開閉することしかできない。
「好きだよ、サンジくん」
恥ずかしそうに目を細めて震えた声で、だけどしっかり響いた声が耳に滑り込んで脳に届く。満足そうに一息ついたレディがそのたおやかな手で扉を開けてまた走り出していて、待って、の言葉すら紡げない。
「美味しいスープ、楽しみにしてる!」
楽しげに置いていかれた言葉にハッとして視線を落とせば体に染み付いたコックとしての長年の経験が、勝手にくるくるとスープをかき混ぜていて頭を抱えた。パタン、と閉まる扉に息を吐く。どうしよう。どういうこと。レディはわざわざ時間を尋ねた。20分かかると知っていて、頬に、唇を。だからきっと、おれのことをよくわかってくれているレディは20分は時間を稼げると知っていて、それで頬に。どうして。好き。そうだ、好きだって言われた気がする。幻聴じゃなければ。いや、幻聴な訳がねェ。しっかりはっきりこの耳で聞いた。ことことと煮えるスープを見つめればきらきら輝く反射で真っ赤なおれが映っているのがよく見える。ぐ、と胸が締め付けられる気持ちでくるくると腕を回してかき混ぜ続けながらぐるぐると考える。立ち込めるにおいと輝くスープの色合いに、時計を見ずともそろそろ20分が経つことがわかった。
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