タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/13


「よかったね」

 唐突に投げつけられた言葉に眉を顰める。何が。主語を話せ主語を。

「ルフィと友達になれてよかったでしょ?」
「……同盟だ。この船の奴らはどいつもこいつも」

 この女の良かったにかけられた主旨がわかったところで眉間の皺をほどくことはできなかった。むしろプラスで肺活量のデータを更新できるほどのため息すら出る。呆れて帽子を深く被りなおして視線を逸らした。

「でもこれでお別れは寂しいね。いっそ仲間になっちゃう?」
「ならねェ」
「ちぇ。まあローが一クルーって変な感じだもんね。キャプテンが似合うよ」

 はなからその選択肢しかないと言わんばかりに自然にトップを自分のところの船長にしてるあたりこいつも大概麦わら屋に心酔していて眉間の皺がどんどん深まる。

「寂しいならてめェが来い」
「無理」

 即答。わかりきった答えに思わず鼻で笑った。

「これでローと会えなくなるのは寂しいけど、私にだって夢はあるもの。ルフィたちが夢を叶えるところを見るのも私の夢の一部だし」 「ハッ」

 夢とやらを笑ったと思ったのか機嫌を損ねたのが見なくてもわかる。また自然と溢れるため息を吐きながら視線をやれば、やっぱりぶすっとあからさまに表情を歪めていてまた笑う。

「“ルーム”」
「あ、もう行くの?」

 なのにおれが手をすっと上にあげれば損ねていた機嫌なんてなかったかのように見送ろうとする切り替えの早さに呆れる。

「勝手に帰ったらルフィがおこ、」
「“メス”」
「るよ、え?」

 おれの手の中にはとくとくと脈打つ心臓。目を見開いてそれを見やる姿は間抜けだ。恐る恐ると言わんばかりにおれの手の内にある心臓から、視線を落として自分の胸元を確認して、はわ、とまた間抜けな空気が漏れ出る声が聞こえた。

「そもそも海賊ならお伺いなんざ立てずに奪うもんだろ」
「え?」
「まあ今はこれだけで許してやるよ。じゃあな」

 ぶん、とまた重い音を立てて今度こそ自船のものとおれの位置を入れ替える。入れ替える寸前、ルフィ私の心臓が、と叫ぶ女の声にようやく満足して眉間の皺をほどいた。