タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/14


 最近、サンジくんがじっと私を見つめていることが増えて首を傾げる。視線に気付いて目を合わせればいつものように片方しか見えない瞳をハートにとろけさせて大袈裟なほどの賛美を浴びせてくる。だから、なにか用事?と聞きたかったのにシャワーのような褒め言葉の大群をいなすことに必死でいつも忘れてしまう。だから今日は私から。明日に出てくる何かを仕込んでいるのか美味しそうな匂いをキッチンに漂わせて機嫌良さそうに料理をしているサンジくんを眺めてカウンターに座った。私から、なんて言いつつもうすでにサンジくんの口からは私への褒め言葉が流れるように溢れ出ているけれど、目はいつもよりハートにとろけていないし、料理に真剣。

「サンジくん、最近よく私のこと見てるけど、なにか言いたいことでもある?」

 ぴた、と固まる口に、あるんだな、と悟る。

「いやそのほらいつも可愛らしい上にお美しいなァ、なんて」

 今日は私がじっと見つめる日。そんな言葉では今日は引き下がってあげない。あれやこれやと言い訳を紡ぐサンジくんは、狼狽してても手際はいつも通り完璧で仕込み準備を終えたのか灯していた火を消した。キン、と音を鳴らして気持ちを落ち着けようとしたのかたばこに火をつけてゆっくり肺に送り込む姿を見つめて待つ。そんな私の視線に気付いているくせにうろうろと視線を彷徨わせるサンジくんの諦めの悪さに小さく笑った。

「まあ悪いことじゃないならいいよ」
「わる、……いことかも」
「え」

 引き下がってあげない、だなんて決意して見つめていたのにそのあまりの狼狽えっぷりに思わずこれ以上優しいサンジくんを困らせるのも良心が疼いて仕方なく詰問をやめた。のに、サンジくんの沈みきった返答に瞬く。

「……私のことが嫌いになって別れたい、とか?」
「んなわけねェ、ッです」

 驚いて思わず出た言葉にすぐさま否定が入ってホッとしたのも束の間、じゃあどんな悪いことを思われてるんだろうと不安になる。

「……いや、ちょっと、」
「うん」
「そろそろ、」
「うん」

 うろ、と忙しなく動いていた目と目がかちりとあう。

「そろそろ、ちゅう、したいな、って」