タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/21


 ぞろ、とどこかしたったらずに甘えるとろけた声にびくりと全身がこわばって飛び起きた。飛び起きる、ということはさっきのは夢でほっとする。仲間に対してそういう感情を持つななんてことは言わないが、そんな気持ちを寄せることすらせずに勝手に夢に出演させて勝手なことをさせるのは大事な仲間を道具として使ってしまったような気持ちになって罪悪感がすごい。どんな悪夢よりも冷や汗をかいて、もうずっと塞がったままの左目も一緒に両目を覆ってため息をついた。

「ゾロ?」
「ドワッ!?」
「きゃっ」

 さっき聞いた声とは全く違う、いつもの声音で、だけど急に声をかけられて心臓が爆発したんじゃないかと思うくらいびくつく。生きてるか? 生きてるな? よし。深呼吸して両目を覆っていた手を下ろせばおれの前にしゃがみこみながら心配しておれを見下ろす声の主に、深呼吸の意味もなくまた目を覆う。無理だ。さすがにさっきの今は無理だ。

「大丈夫? どうしたの? 変な夢でも見た?」
「おうあ」
「おうあ?」

 肯定しようとして肯定すればどんな夢を見たんだと深くほられるのかと途中で気付いて誤魔化そうとした結果意味がわからない音を紡いだ。不思議そうに繰り返す声が耳を擽るがそれ以上におれの罪悪感やらなんやらがうるさい。

「ゾロ?」

 おれの不可解な言動にとうとう不安が滲み始め優しく尋ねる声なのはわかっている。でもその優しげな声は、ひどく甘ったるく、ほんの少しさっきの夢での聞いたことのない声色と同じで心臓が脈打つ。その声色をやめろ、だなんて言ってしまえば理由を言わなくちゃいけなくなる。どうすることもできない現状に呻くだけで余計に心配をかけてしまう。

「ぞろ?」

 ばくばくとうるさい心臓のおかげで声が若干遠ざかった。気がする。そのおかげで夢に似た声色がそこまで耳に突き刺さらなくて一瞬で意識が飛ぶなんて情けないことにならずに済んだ。

「わりィ」
「ゾロ?! チョッパー!! ゾロが!」

 お前は悪くない、本当に。何も。おれが全部悪い。それだけは伝えたくてどうにかこうにか絞り出した音を最後に意識が飛んだ。