タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/09/27


「ねえサンジくん、付き合って」
「ハァイッ! レディがお望みならどこへでも! 昨日言ってたお店? アッおれも昨日食材仕入れに行った時にレディが好きそうなアクセサリーが売ってるとこ見つけたんだよォ」

 デレッと自分でもやにさがりすぎているのがわかるほど歓びに満ち溢れた声と表情にレディが楽しそうにくすくす笑ってくれるからおれも嬉しくなってくる。なんだこの幸せの連鎖。幸せすぎる。エヘエヘと喜びながらレディの気が変わる前に出掛ける準備をしようと終わらせた洗い物を棚に並べて振り返れば見たこともないくらい優しい目がおれを見つめていて嬉しいを通り越してどきりとする。なんだろう、気恥ずかしい。どきりとしたことを誤魔化そうとへらりと笑えばレディも口角をあげてにっこりしてくれる。だけどどうしてだろう。付き合って、というわりにレディはカウンターに腰を下ろしたまま。

「付き合って?」
「え? あ、うん、もちろん、おれが断ったことある? どこに行きたいの? 行きにくいところ? どんなとこでももちろん付き合うよ」

 再度告げられた同じ言葉に緩んだ頬が不安に引き締まっていく。どこに行きたいんだろう。それともどこに行くかはもう既に言っていて、おれが聞き逃してしまっているだけで、だからレディは怒って何度も……そんなわけがない。だってレディの表情はとても優しくて、狼狽えてしまうほど優しい目でおれを見つめていて、だから怒ってるわけじゃない。じゃあどうして出掛ける準備もせず、どこに行くかも教えてくれないんだろう。

「付き合ってくれるの?」

 甘くとろける声に、楽しげに目を細める姿に、ふと唐突にとても都合の良い考えがよぎった。いや、そんなはずはない。そんなはず、

「えっと、その、……おれのこと、からかってる?」

 にっこり笑うレディはとても可愛くて、だけど答えを紡いでくれない唇にとくとくと心臓が鼓動を早めていく。

「ねえ、サンジくん、私と付き合ってくれる?」