タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/10/04


 ロビンちゃんから今日は星がたくさん降るわよと耳打ちされて胸を高鳴らせたのがついさっきのことのよう。気もそぞろに明るいうちから空をじっと眺める私を見て楽しそうに微笑まれて照れてしまった。

  ▼▼▼

「こんな時間に何してんだ」
「……勝手にお酒飲んだら怒られるよ」
「あ? お前が黙ってりゃバレねェよ」

 甲板に寝転がる私を見下ろすゾロの手にある瓶に質問に答える前に呆れた声が出てしまった。私は言うつもりはないよ。だって言わなくてもバレるし明日はきっと朝から大喧嘩がはじまるのが手にとるようにわかる。呆れながら笑えばゾロが瓶をラッパ飲みで煽りはじめて身を起こした。

「ゾロも一緒に見よ」
「なにを」
「星」

 きらきら輝く星たちを体育座りをしつつ指差す。私の指先を追って視線が動いて溜息が聞こえた。

「情緒のかけらもねェおれを誘うか?」
「ゾロだからお誘いしてるんだけど」

 情緒のかけらもないと自称したことに思わず笑ってしまった。そうだとしても一緒に見たいから駄目元でも誘う。

「洒落たこと言えねェぞ」
「うん」

 また溜息。だけどどっかりと私の隣にあぐらをかいたゾロに頬が緩む。何も話さなくて良い。ただ一緒に並んで星空を見上げられるだけで私は楽しいし嬉しい。なんて思ったことは心に秘めておく。それを言ってしまえばゾロは本当に黙り込んでしまうだろうし、照れて立ち去ってしまうかもしれない。

「なんで一人で見てんだ」
「?」
「あいつら誘えばよかっただろ」

 一瞬訳がわからなかったけどゾロの視線が女子部屋に向かって意味がわかる。だけど笑って誤魔化す。別に一人で見たかったわけじゃない。ロビンちゃんに今日の星空の講習はたくさん受けたし、私はそのまま一緒に見るものだと思っていた。だけど不意に耳元でそっと「今日はあの剣士さんが不寝番よ」と告げられて、そしてその意味をはかりかねる前にロビンちゃんは女子部屋に戻っていた。恥ずかしい。秘めていたはずの恋心がバレていた。
 そんないきさつをゾロに話せるわけもなく口をつぐめばゾロは深追いしてこない。助かる。せっかくお膳立てしてもらったんだから照れたり恥ずかしがるのは後にしてこの時間を楽しまなくちゃ。

「ゾロは流れ星に何かお願いする?」
「すると思ってんのか」
「全く思ってない」

 じゃあ聞くなよ、と呆れたように笑われて私も笑う。

「お前はするのか」
「ゾロが来なかったらしようと思ってたけど、今はいいや」

 不思議そうに片眉をあげたゾロに小さく笑った瞬間、目の端にきらりと何かが光るのが見えて空に目を向ける。たくさんの流れ星が空を駆けていて夜なのに眩いばかりの星空。ほう、と吐息が溢れて、自然と口からきれいと声が漏れた。隣でゾロも、そうだな、と頷いてくれて一生分の幸せを使い果たしてしまったかのような気持ちになってしまった。