タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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これの前日 クロコダイルバージョン
2021/10/11
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がちゃがちゃきいっどたばたごんどてっぱたん。誰かが鍵を開けた音がしてぴくりと眉が上げる。鍵を開けて扉が開いただけならまだしも変な音がおまけにたくさんついていてため息を吐く。この家の存在を知っているのは数えるほどしかいない。合鍵を渡しているのはただひとり。その人間がようやくはじめてその鍵を使ったんだということに口角を上げる暇もない、鍵を使っただけじゃない騒音に呆れて首を振って立ち上がった。
廊下を突き進んで玄関に行けば想像通り合鍵を渡していた女がいた。盛大にすっ転んだ姿で。おい、と声をかけてもぴくりともしない。長いため息をついてうつぶせに床に臥している女の腹に手を伸ばして片手で抱き上げる。ぐにゃり、と力の抜けた体が胸元に擦り寄ってきてまたため息をついた。酒臭ェ。呆れを通り越して鼻で笑う。おれの腕の中でぱちぱちと緩やかに瞬きをして開いた目が酒の力で潤んでいて、視線が絡まった瞬間に嬉しそうに細まった。
「クロコダイルさんだぁ」
「ああ」
「鍵使っちゃいました」
「偉いな」
「えへへ」
歩くのすら覚束ないほど酒に溺れるのはどうかと思うが、思考回路が緩んだ結果頑なに使わなかった合鍵を使って自らこの家に足を踏み入れたことは賞賛に値する。
意識がはっきりした瞬間に盛大に後悔するのが想像に容易いが、酔ってようが酔ってまいが鍵を使ったのはこの女の意思で。ようやく手中に飛び込んできた獲物に口端が僅かに上がった。
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