タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/10/18


 ぽた。
 あ、と思ってももう遅い。とたとたと軽い靴音だけれど物凄いスピードで近付いてきている何かの正体はわかりきっていて苦笑する。

「レディなにかあった?!」

 キキーッと音を鳴らして急ブレーキをかけながら私の足元に跪くサンジくん。一度目の当たりにしたことがあるから疑ったことはないけど、本当に涙の落ちる音を聞き取れてしまうサンジくんの聴力に小さく笑う。キョロキョロ私を泣かせた原因を探りながらも笑った私と目が合った瞬間にその焦りを滲ませつつも笑みを返してくれる。それでもどうして泣いたんだろうと不思議そうにそわそわしているサンジくんに、私の太ももに乗せていたロビンちゃんから借りた本を示した。

「ごめんね、何かあったわけじゃないの。読書をしてて、その、感動して」

 説明をしながらほんの少し照れくさくなってしまって尻すぼみになる必要なんてなかった。あからさまにホッとした表情を浮かべてから、ぐんにゃりと体をくねらせて、感受性が豊かなレディ……なんッッッて素敵なんだッ!と感受性の塊のようなサンジくんの褒め言葉に頬が緩んだ。