タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
君のために死にたい・それでも会えてよかった・だから謝らないで
2021/05/30


 どうして、といつもは低く甘い声が上擦ったように高く耳にざらついて重い瞼をどうにかこじ開ける。ぼたぼたと私の顔中に涙を降らせるサンジくんを安心させようとにっこり微笑んだつもりだったんだけど、余計に涙が零れ落ちたからたぶん笑えてなかったんだと思う。サンジくんは優しすぎるから、あなたのために死にたいだなんて願望を叶えてしまえばきっとずっと彼の心の中に私が居座れるんだと思う。だからほんの少しその甘美な妄想にうっとりとしたことがあるけれど、私はサンジくんの笑顔が大好きで、だから私の行動で彼を泣かせたくなんかなくて、胸のしこりになんてさせたくなくて、これでも命には気を遣っていた方なんだよ。サンジくんは身を挺した助けなんて喜ぶわけがないと頭では理解していても、それでもやっぱり体はそれについていかなくて、サンジくんを襲う凶弾の前に思わず飛び出てしまった。だから謝らないで。全部私が悪いの。
 体が勝手に動いてしまうほど好きな人に出会えて良かった。
 好きな人を私が傷付けてちゃ意味がない。好きな人には世界で一番幸せになってもらわなきゃ。だから、だから、ものすごく瞼は重いけど、言葉を紡ぐのもつらいけど、それでも、サンジくんにきちんとお説教されるために、起きなきゃ。
 そういえば騒動が起こる前に、珍しい果物を手に入れられたからそれでケーキを作るね、ってサンジくんが言ってた。見たことも聞いたこともない果物だったけど、サンジくんが作るものに美味しくないものなんてないんだから、ちゃんと、食べに帰らなきゃ。