タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/10/28
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「ファーストキス、何味だった?」
ぎょ、とありえないほど目を剥いてしまった。きっとものすごく不細工だっただろう。慌てて顔を引き締めていつもの紳士で一流なコックさんの顔面に戻しても、まあレディはずっとおれなんて見てなくて風に飛ばされてきた雑誌の切れ端なのかなんなのかとにかく紙切れを手にじっとそれを眺めている。ちら、と覗き込めばどうやら下世話なゴシップ誌のようなものではなく女性誌のアンケートコーナーのようなものでほっとすると同時に唐突な質問に合点がいった。
「サンジくん?」
「いや、ええと、うーん、ファーストキスの味はほら、レモン味なんじゃない?」
いつまで経っても返事をしないおれに焦れたのか見上げられて無駄に動揺して視線は彷徨うし口籠るし、あまりにもスマートじゃなさすぎる返答に自分で恥ずかしくなる。好きな人に遊び人だとも思われたくないしでもだからってラブコックの名が廃るようなやつだとも思われたくない。ふふふ、と楽しそうに笑われたからまあなんとか誤魔化せたんだと思いたい。なんとか話題を当たり障りなく流せたと思ったのに、レディのたおやかな指がつい、とファーストキスの文字をなぞってざわりと心臓が変な動き方をする。
「私は、」
私は、────
その後に続く言葉を聞きたくなくて手が伸びた。私はファーストキスの味を知らない。それならまだ、浮かれる。だけどレディはこんなにも魅力的で、そんな可能性は奇跡が起きるような少ない確率でしかない。レディの唇に触れて味わったことのある男を頭の中で想像して、何度も蹴り殺す。無邪気に笑いながら、私はこんな味だった、だなんて言われてしまっては、そんな想像だけじゃ収まりがつかなくなってしまうのは明白で。地獄の底にまで追いかけて生きてなくても生き返らせて殺してしまうだろう。
不思議そうにまあるく見開く目がとても大きくて愛らしい。ぱち、と瞬いて、その至近距離を不思議に思う。
手で塞いだ、はずだったのに、おれの手はレディの柔らかな肌を触っている。レディの唇を塞いだのは、おれのくちびる、
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