タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/10/29
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「おら」
「ウワなにグロえっ誰か殺し……?!」
ゾロの手にはびくびくと動く、チョッパーの持つ医学書でくらいしか見たことがない生の心臓。びくびく、動く? 生きて、る? その状態で? いや無理じゃない? だけど一応動いてるっていうことは別に誰か殺して引っこ抜いてきたとかではない? いつもの表情のまま変わらぬゾロに恐る恐る近付けばそれを突き付けられて思わず受け取ってしまう。あっ、あっ、あったか〜い……。ちがうそんなことを思ってる場合ではない。
「な、なにこれ」
「おれの心臓」
「えっ」
「トラ男に出してもらった」
ほら、といつも着ている白シャツを手繰り上げて見せられた胸には確かにぽっかりと穴が空いている。
「お前が信じねェから」
「へぁ?」
ばっくんばっくん動く心臓を落っことしたりしないように両手でしっかり持ちながら言われた言葉が脳内できちんと処理できなくて間抜けな声が零れ落ちる。ゾロを見上げればまっすぐ私を見つめていて、相変わらずいつもと同じ表情。どっくん、と一際大きく心臓が跳ねて慌てて落とさないように気を引き締める。
「好きだ」
どどどど、と慌ただしく跳ねて震える心臓が私の手の上で大暴れしていて、ゾロの声がうまく頭に入らない。え、と思わず聞き返してしまう。
「お前が好きだ」
見上げた顔はいつもと同じ表情で。だけど私の手の上のこのゾロの心臓は、言葉を紡げば紡ぐほどびちびちと跳ねて震える。
「好きだ。同じ気持ちを返せって言いたいわけじゃねェ。まあそうなるに越したことはねェけど、とにかくお前はそれ以前の問題だ。おれの気持ちを疑うな」
ばくばくばくばく。激しく動く心臓と、ゾロの表情が一致しない。……本当に? いつも前を見据えて揺らがない瞳が、悲しげに揺れている。いつも明瞭としてよく通る低く重い声が、微かに震えている。お酒ですら変わらない肌の色がいつもより僅かに血色が良い。
どうして私はゾロの言うことを信じられなかったんだろう。いつもと同じだなんて、なんでそう思ったんだろう。こうして心臓を取って見せてくれなくてもこんなにいつもと違うのに。
手のひらに乗っかっているゾロの心臓の音なのか、私の心臓の音なのか分からないほどばくばくとうるさい音にぎゅっと唇を噛んだ。
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