タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/10/31
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「レディ、そろそろ終電だよ」
「……はーい」
今日も駄目だった。サンジくんが一人暮らしをする家に遊びに来て甘いお酒を飲んで、終電がなくなる前に駅まできっちり送られて家に帰される。いつもそう。
はじめてサンジくんの家に足を踏み入れたときはすごくすごく嬉しくて、ずっと緊張して、飲んだお酒の味なんて全くわからないくらいだったのに。サンジくんは一切手を出してこない。誰彼構わず女の子と見れば声を掛けて浮かれるサンジくんだからきっと、部屋に入ってしまえばぺろりと美味しくいただかれると思っていたのに。指先すら触れ合わない。
きっと私はサンジくんのお眼鏡にはかなわなかった。友達として付き合う分にはいいけれど、女性としては見られていない。
「サンジくんはやさしいねえ」
「へへ、」
酔っていてふわついていながらも棘のある言葉に気付かず照れるサンジくんを横目にかばんを持って立ち上がる。もう諦めよう。何度繰り返してもきっと同じだ。サンジくんは私を食べてくれない。好みじゃない。ほんの少し千鳥足になって揺れる床をゆっくり踏みしめて玄関に辿り着く。腰掛けて靴をかかとまでしっかり履いて深呼吸。悲しいけど、お別れの準備。もう諦める。もうここには来ない。この玄関を踏みしめるのは今日が最後。ぺた、と壁に手をつきながらゆっくり立ち上がる。
「わたしもサンジくんみたいにやさしいかれし、はやくつくろーっと」
声は震えなかったかな。サンジくんに変だと思われなかったかな。
玄関のノブに手をかけて、押す。はずだった。ノブに回した手を覆う温かい何か。一度も触れることのなかったサンジくんの、手。
「え、」
「レディはどうでもいい男の家でこんなにも無防備になってたの?」
「な、」
「おれ、レディに優しくしてるつもりだったよ」
「さ、」
「精一杯、世界一優しく愛してるのに、おれじゃだめなの? おれみたいに優しいって、ほかの野郎じゃなくておれでいいじゃん。なんでそんなこと言うの?」
視界の端に、金色。首筋に熱い空気が触れて反射的にびくついた体はどこにも動けなくて、私にできることはかちこちに固まることだけ。首筋がくすぐったいのは、サンジくんが私の肩に顔を埋めているから。背中が熱いのは、サンジくんが私に覆い被さるようにぴったりくっついているから。
「レディがほかの野郎のとこに行くならもう帰せないよ」
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