タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/11/04


「お嬢さんはいったいいつになったら起きるのかね」

 クハ、と楽しげな低い声が耳をくすぐって脳を揺さぶって跳ね起きた。つもりだったのは気持ちだけで私ができたのはせいぜいシーツを跳ね飛ばしただけ。跳ね飛ばしたせいで空気が直に体に触れて、いそいそと跳ね飛ばした手でまた胸元まで手繰り上げた。そんな間抜けでしかない私の一連の仕草を隣にいる人は見ているはずなのに何も反応を返さず黙って煙をくゆらせているだけで、胸元まで手繰り寄せたシーツを頭にまで持っていった。
 どうしよう。どうして私、生きてるんだろう。死んでもいいからと、最期の思い出にと、のこのことついてきたのに。なんで生きてるんだろう。わからない。なんで。どうして。ぐるぐるぐるぐる考え込んでも答えは見つからない。
 縋り付いていたシーツが途端、手触りの良い感触じゃなくなってジャリッとした感触に変わる。え、と間抜けな声が出て瞬いたのも束の間、シーツが砂に変わったことを悟る。

「あわ、あわわ、」

 待って待って待って今の私は素っ裸。アックロコダイルさんも素っ裸ですねでもなんというか私と違ってもはや彫刻な感じで大変素敵だと思います私は彫刻ではないので布が欲しいのに布が砂! アッそれとも今から私も砂にされる感じで?? それならいいんですけどなんで一晩置いたんですか? 慌てふためく姿が見たい感じで? 悪趣味ですね! まあ私をつまみ食いしてくださった時点で悪趣味ですもんねなるほど!

「……なァおい」
「ひゃい!」
「後悔してるのか」

 低い声が降ってきて慌てふためくのも忘れて首を傾げてしまう。後悔。なんの。

「おれと寝たことを後悔してるのか」
「え」

 素っ裸を隠すことさえ忘れてしまう。あまりの衝撃に思わず目を覚ましてから一度も見上げることができなかった目をがっつり見てしまう。ばちん、と絡まった視線に固まる。

「そん、そんなわけないじゃないですか、ただ、その、生きてると思ってなくて」
「あァ?」

 一際低い声が煙の隙間から溢れてきてまた視線を外す。アッ素っ裸なのつらい。どうしてシーツ砂にしたんですか布が欲しい。とにかく布が欲しい。布。もう布以外考えられなくなってきた。生死よりも今私に必要なのは布。