タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/06/02


「夏油くんは彼女が10人くらいいそうだよねえ」

 想い人にこんなこと言われる地獄ってあるだろうか? 顔には出さずに絶望に伏す私を指差しながらげらげら笑う悟をほんの少し呪いながら、ただれた生活をしていた自分を呪う。救われるのが、いそう、というただの想像の範囲の言葉と、その放った声音が軽蔑に滲んでいなかったこと。軽蔑に揺らぐ声と嫌悪の眼差しで見られていたら死んでいたかもしれない。ただただぼんやりと呟かれただけの侮蔑も何もない世間話のつまみ程度に放たれただけだったからHPが1、かろうじて残った。

「あの、私、彼女いない、よ」
「ひとりも?!」

 思いきり目を見開いて驚かれて頷く。ひとりも、もなにも、そもそも彼女というポジションは本来ひとりしか作れないものなんじゃないだろうか。私のことをただれていると思ってるだけならまだしも、君の貞操観念が少し心配になってきた。まさか君も彼氏が複数人いたりするのか。

「彼女はいないよな。都合の良い女はいるかもだけど」
「ああ、なるほど……」

 涙を流すほどげらげら笑っていた悟が楽しそうに落とした爆弾に今度こそ本気で呪おうと思ったのに、納得されてしまって心が折れる。いないから。いないよ。納得しないでくれ。

「私、そんなにひどい男だと思われていたのかい」

 私ってこんなに悲壮感に溢れた声を出せたんだな、なんて現実逃避までしてしまう。

「えっ、別にひどいことはしてないんじゃないの? だって別に騙したりとかはしてないでしょ? 夏油くんみたいなかっこよくて優しい人と遊べるんだから女の子だって楽しいだろうし」

 かっこよくて優しい人は都合の良い関係なんてもの、作らないと思うけど、なんて、自分で自分を傷付けてどうする。君の貞操観念がだいぶ心配だ。自分を棚上げして俯く。対象外にも程がありすぎる。当たって砕けろも何も、まず当たることができない。

「君のことを好きになってからの私は、君しか見えていないんだけどな」

 そんなにひどい男だと思われている私の言葉なんてどうせなしのつぶてだろう。投げやりに放ったそれに返事がなくて、それ見たことか、とため息をついて彼女に視線をやった瞬間、首まで真っ赤に染まった姿に目を見開いた。