タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/11/16


「あのぅ……レディ……?」
「なあに?」

 楽しそうに振り返ってくれるんだから、楽しい、はず。なんて言葉はもう云万回繰り返したせいで擦り切れて、意味がなくなった。何をあげても喜んでくれる。レディにはいつも素っ気なくされるもんだから、最初のうちはおれに気があるんじゃあないか、なんて勘違いしてしまったくらいには、喜んでくれる。
 でもなんでも喜んでくれる、って、それ、どうでもいいってのと一緒じゃないか?
 そう思ってしまってから苦しくて、レディが身につければなんだってレディに似合うけれどそれでも、こっちの色味の方が一番レディの魅力を引き立てて似合うけどほんの少しズレた色味のプレゼントをしたりして、だけどやっぱりそれでも喜んでくれて、肩を落とした。ああ、本当にどうでもいいんだ、って。
 それなら顔を顰めてくれた方がよかった。
 嬉しそうに受け取ってくれるから、嬉しいもんだと。
 なんて、勝手に勘違いする男の方が悪いのに。

「あの、正直に言ってほしいんですけども」
「うん」
「おれの贈り物、迷惑?」
「どうして?」

 不思議そうに首を傾げられて口籠もる。レディの柔らかな手に乗っているのは、さっき見つけた綺麗な花。花でも、貝殻でも、服でも、小物でも、料理でも、その手に乗っているのがなんだって、レディの笑顔は変わらない。

「……なんでも喜んでくれるから」

 不思議そうに瞬いて笑ったレディの笑顔はとても愛らしいけど、つきつきと心臓を小さな針で刺されてるような痛み。

「好きな人にもらえるものは本当に全部嬉しいんだよ」

 無意識に俯いていた顔を反射的に起こして固まる。目を細めて幸せいっぱいに笑うレディが花をくるりと指先で回していつもより肌を赤らめていて、小さな針が突き刺されて大人しかった心臓が痛みも忘れて大暴れし始めた。