タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/11/20


「ぞろ、ぞろ、どこ、ぞろ」

 震える声で四方八方に静かに助けを求める声が聞こえて足を向ける。ここだ、と声を出せば、ぞろ、と少しだけ大きくなる声に目を凝らす。凝らしても全く光が差し込まない洞窟の中では姿を見つけることは容易くなくて、結局は音を頼りに歩き続けた。

「ゾロ」
「お、……うわっ」

 腕をまっすぐ伸ばしていたのか気配に腕を伸ばせばがっつり掴み取れて頬が緩む。びくっ、と一瞬強張った腕が俺だと気付いた瞬間に飛び込んできた塊に思わず声を上げて仰け反ってしまった。どす、と腹に飛び込んできた塊はぐすぐすと鼻を鳴らしていてため息を吐きながら腕を掴んでいた手を離して背中に手を添える。

「だから留守番組にいてろって言ったろ」

 ルフィがロビンの言うこと聞くわけねェんだから、専門家がいようがルフィと同じチームに振り分けられた遺跡探検なんか危険だらけに決まってんだろ。
 言外に滲ませた言葉に気付いたのか気付いていないのか泣いたままぎゅうぎゅう抱きついてくる。このままじゃ埒があかねェ。背に回していた手で膝を掬い上げる。片腕に尻を乗せて抱き上げる。涙に濡れた悲鳴をあげたもののおれの首に腕を回して肩に顔を埋めた体勢でまたぐすぐす言うもんだから思わず呆れた笑いが漏れた。耳元でゾロ、ごめんね、となんの謝罪だかわからない謝罪を囁かれる。

「おら、ぐすぐす泣いてねェでルフィたちを探すぞ」

 うん、と抱きついたまま頷かれて足を進めた、

「ぞろ、そっち、ゾロが今来た方向」
「ぅううっせェなわあってるよ!」

 瞬間、耳元で囁かれた言葉に顔が引き攣り体が熱くなる。先の見えない暗闇でぐるんと体を正反対に回してずんずん進むおれの耳元で、ぐすぐす泣くのはやめてくすくす笑い出した女を一瞬置いていってやろうかと思った。