タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/11/21
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甘い国から帰ってきたサンジくんはあれから、たまねぎ料理を作ることが増えた。口の中にたまねぎの味が広がって、ごくん、と嚥下する。
くねくねナミすゎんおかわりはいかが?しゃきっオイこらてめェ人のもんにまで手ェ伸ばすんじゃねェ!くねくねロビンちゅわん食後のデザートはどっちがいい?
忙しなく男女に分け隔てなく給仕をするサンジくん。もちろん私にだってくねくねしながら手際よくドリンクを入れてくれる。目がクルーの人数分あるんじゃないかってくらい気遣いが行き届いていて、ぐるぐると考え込んでいた私とサンジくんの目がぱちんとぶつかる。どこか困ったようにゆっくり笑うサンジくんに、たまねぎをまたひとかけら口の中に放り込んで言葉とともに飲み込んだ。
泣きたいならたまねぎの力を借りずに素直に泣けばいいのに。
飲み込んだ言葉を吐き出せばきっとサンジくんは余計に笑顔を張り付けてしまう。困ったように笑うだけ。嬉しくたって、悲しくたって、痛くたって、ほっとしたって、泣きたくなったら泣けばいいのに。
サンジくんのごはんを食べ終えてそれぞれ散り散りになってふたりきり。いつの間にか机の上にはお皿がなくなっていて私の目の前には食後のドリンク。顔を上げればたばこを咥えながら洗い物をしているサンジくんとばっちり目が合って瞬く。へら、と同時に誤魔化すように笑って、思わずふたりして吹き出して笑う。
「あはは、なあに?」
「いや、レディがかわいくてつい盗み見してたから決まり悪くて」
「私もごはんの時サンジくんのことじっと見てたからいいよ」
そう言えばサンジくんの愛嬌のある眉毛が困ったように垂れ下がる。やっぱり見てたの気付いてたし、私がサンジくんを見ながら考えてることにも薄々気付いてて、だから困ったように笑うんだろうな。見聞色に秀でたサンジくんは私の考えなんてきっとお見通し。お見通しのくせに私がどうしてこういうことを考えてるかわからないから居心地悪そうに困ってる。頬杖をついてサンジくんをじっと見つめる。手際のいいサンジくんはあんなにたくさんの洗い物をもう終わらせたのか、きゅ、と水を止めて私の視線をどう受け止めたらいいのかわからずに視線を彷徨わせてる。
「えと、レディ、ドリンクのおかわり?」
「ううん、まだたくさんあるから大丈夫」
「じゃあ、その」
「サンジくんを困らせたいだけだから気にしないで」
「え」
泣きたいなら泣けばいいのに。私なら、たまねぎと違って抱きしめてあげることができるのに。たまねぎ相手にしか涙を見せないサンジくんに勝手に傷付いて、優しくしたいはずのサンジくんに意地悪をしてしまう。
おろおろしながらも忙しいコックさんは明日の朝食の仕込みをするのか、片手にはたまねぎ。サンジくんのごはんはなんだって美味しいのに、たまねぎのことが嫌いになりそう。
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