タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/11/24


「ゾロ、鍛冶屋行くんでしょ? 連れてったげる」

 笑みを浮かべて刀をさしていない方に体を寄せて腕を絡めてくる馬鹿に呆れてため息をつく。クソコックが毎度懲りずに血涙を流してこの馬鹿に縋るのも鬱陶しい。へらへら笑っておれを引っ張りながら他の連中に手を振るのを横目に足を進めた。
 いつもより早く鍛冶屋を見つけられて刀を預ける。剣士でもないのに何が面白いのかおれが用事を済ませる間、興味深気に店内を隅から隅まで眺めている。店内を物珍し気に物色する女なんざ誰かの連れ合いだと考えるのが普通なのに、おれが店主と話している隙に馬鹿が馬鹿らしく女に声を掛けて眉を顰める。まあ全くビビっていないし、目の届く範囲だし、黙って成り行きを気配だけで見守っていれば懐に思い切り塊が飛び込んできて店主との会話が一瞬途切れる。なんだよ男連れかよ、あまりにも当たり前なナンパ野郎の捨て台詞を背中で受けて懐に飛び込んできた女のつむじを眉を顰めながら見下げた。
 結局面倒になったのかずっとおれの懐に引っ付いたままだった塊は用事を済ませて店外へ出たあとは来るときと同じように腕に纏わりついていて眉間の皺が増える。

「はー……世の中の男の人、みんなゾロみたいになればいいのに」

 重たいため息をついて意味のわからない言葉が放たれた場所へ視線を向ける。疲れたような顔を腕にもたれかけて全身を無防備に預ける姿に眉間の皺が深まっていった。

「ゾロは私のこと女扱いしないから」

 ぴく、とこめかみが動いたことにこの馬鹿は気付かない。

「ゾロは女の人に興味ないもんね」

 ぴったり密着しているもんだから、ふふふ、と笑う空気がおれの肌を滑って、ぷちん、と何かが切れた音がした。絡め取られていない方の腕を動かして手のひらで顎を掬い上げた。頭を屈めて馬鹿に近付く。きゃ、と高い悲鳴がおれの口の中で鳴る。馬鹿なことばかり話すこの口は、おれの口なんかより小さくて丸ごと蓋ができた。まんまるく見開かれたその目玉の中には苛立っているおれの表情がしっかり映っている。いい加減腹が立つ。
 ぴったり絡め取られた腕は柔らかな肌の感触がしっかり伝わるし、無防備にも懐に飛び込んできたときはこのまま腕の中に閉じ込めてやろうかと思った。二十一歳の普通の男が考えることと変わらないおれを他の男を追い払う都合の良い番犬のように扱う馬鹿にも、お前がそれを望むなら番犬にくらいならなってやろうかと甘いことを考えた馬鹿な自分にも腹が立つ。別に、他の奴らを追い払うくらいならおれの利にもかなっているし、言うことは聞いてやる。だがおれのような存在ばかりになればいいと言い出した馬鹿には、そろそろ灸を据えてもいいだろ。おれは行儀の良い番犬なんかじゃないし、この世で一番お前を女として見ている。