タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/11/27
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いつも楽しそうに微笑んでくれる女神の目から宝石のような涙がぽろぽろ零れ落ちていて息が止まりそうなほど驚く。どうしたの、とすぐさま駆け寄ってその涙を拭う権利はおれにはなくて、固まったまま動けない。おれが買い出しの目星をつけている間にルフィとレディ率いる探検組に一体何があったんだ。ウチの船長が大人しくなんてできるはずがないのはわかりきっていたことだけど、どうしてみんなといるはずのレディがたったひとりサニー号の甲板で涙を流しているんだ。まさかルフィたちが。最悪の事態を想像して心臓が冷える。動揺してたたらを踏んだ音でレディがおれに気付いてぽろぽろ流れ落ちる涙をそのままに視線が絡み合った。
「あ、サンジくん、おかえり」
涙に濡れた声だったけど、悲壮感なんてかけらもないレディのいつもとほぼ変わらない愛らしい声に瞬く。レディと目があったことでまた固まってしまったおれを不思議そうに見やって涙に頬を濡らしたまま近付いてくるから狼狽する。
「面白い食べ物見つけたよ! あ、でもサンジくんも市場で聞いて仕入れたかな?」
「なん、な、な、なんで、泣いてる、の」
「え?」
涙をこぼしながらいつも通り普通に会話を続けるレディにおれの目がおかしくなってしまったのかと混乱して問いかけたのに、やっぱりレディは不思議そうに首を傾げるからカチカチに固まったままだった体をどうにか再起動させて目を擦る。目を擦る、と言うより顔を擦る勢いで両目を擦ってもう一度しっかり前を見てもレディの麗しい顔はしとどに濡れたままでパニックになりそうになる。
「あっ、な、泣いてないよ! 泣いてるけど泣いてなくてその、これがその、面白い食べ物で」
ごそごそと小さなカバンから取り出した小瓶を見せられてレディの涙から視線を剥がして小瓶の中身を確かめようと目を細める。金平糖のような水色の小粒がたくさん入っているのを確認してまたレディに視線を戻す。
「食べると三十分くらい涙が止まらなくなっちゃうおもしろ食べ物……あ、ちゃんとチョッパーに食べても大丈夫そうか確認してから食べたから安心して?」
訳を聞いてようやくほっとして体が崩れ落ちる。ずっと息を詰めてしまっていたのか深い息が体から零れ落ちてレディの言葉通り安堵した。良かった。急に崩れ落ちたおれに慌てて同じように目の前にしゃがみ込んでくれたレディに顔だけを持ち上げて視線を合わせる。申し訳なさそうに勘違いさせてごめんねと慌てている姿に驚きに冷え切ってしまった指先を持ち上げてレディの意思で流れている訳じゃない涙を人差し指で拭って気の抜けた声が漏れた。
「びっくりしたぁ……」
「ほ、本当にごめんね、食べ物のことだからサンジくんに早く見せたくてみんなより先に戻ってきたんだけど、どんな味がするのか気になっちゃって、その、私の食い意地のせいで心配かけてごめんなさい……」
「おれのため?」
腰が抜けきって立てないおれに慌てふためくレディがこくこくと何度も顎を引いてくれて、ようやくへらりと笑みを浮かべることができた。
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