タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/12/08
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キャプテン大変大変!とベポに引き摺られて浮上し、甲板に立った瞬間に見えた光景に固まる。白いドレスとヴェールを身に纏った女が麦わら屋に楽しそうにぐるぐるに抱きつかれていて、きれいだなァ!と太陽のように笑いながら太陽に翳したのは、小さなひとつの輝きを放つ輪っか、で。
「────おい、おれは麦わら屋のところに遊びに行っていいとは言ったが、嫁に行っていいとは言ってねェぞ」
ブン、と鈍い音がして石ころと白いドレスを身に纏った自船のクルーを入れ替えて殺意を込めて睨み付ける。大変大変、と引っ張ってきたくせにベポは呑気に、綺麗だね、と告げていてそれに眉根を寄せた。
「お前も、同盟相手のクルーを奪おうだなんてよくよく勇気のあることするじゃねェか。そんなに死合いがしたかったとは知らなかったな」
かち、と鯉口を鳴らしたおれを見ても誰も何も動かない。
「麦わら屋、」
「ああうん、大丈夫だ! 気にするな」
麦わら屋たちは動かなかったが、腕の中に隠したはずのクルーが動いて今度はおれが動けなくなる。怯えたように震えた声を出して助けを求めた先は、キャプテンのおれではなく、同盟相手の麦わら屋。
「ちょっと、まだ終わってないんだけど」
「ごめんナミちゃん」
怒気が死んで鬼哭を握りしめる力が抜ける。それを察したこの船の守銭奴がいつもの調子を取り戻す。キャプテンもごめんね、と困ったように笑いながらも麦わらの一味のところへ駆け出すウェディングドレス姿の女の背中を引き止めることなんてできなかった。
「よし、これで最後だろ?」
「うん」
さっき太陽に掲げていた指輪を、綺麗だね、と笑い合う姿に吐き気がする。ん、と言う声が合図だったのかクルーの手が麦わら屋に差し出されるのを黙って見ることなんてできなかった。それでも、自分のところから麦わら屋のところへ駆け出す姿を二度も見たくなくて、ブン、という音と共におれの手のひらの上には小さな石ころのついた指輪。
んだ、これ、サイズ、合ってねェじゃねェか。
お前は、お前の指のサイズも知らねェ男が良いのか。おれは、お前の全部を知ってる。知ってたら、なんだって言うんだ。お前が選んだのは麦わら屋で、おれじゃなかった。舌打ちをして、踵を返す。これ以上見ていられない。麦わら屋の手の中にはあいつの指にぴったりな指輪が乗っかっている。指のサイズに頓着しねェんだ、指輪が変わったところで別に良いだろ。
「おーい、トラ男! これはお前のだろ!」
背中に煩い声が纏わりつく。なんだ、気付いたのか。指輪のサイズはわからねェくせに。
「これは! お前がこいつにつけてやんねェと駄目だろ! あとそれ返せ! ナミにシバかれんのはおれなんだぞ!」
麦わら屋の言葉を頭に入れる前に腹に何かが巻きついて硬直する。力に逆らえずに引き寄せられて、目を開いた瞬間白いヴェール越しに目が合って気まずくなって俯く。腹にはゴムが巻きついていて離せ、と唸るように言ってもギリギリと締め付けられるだけ。
「なあ返せよォ〜それがねェとおれ肉減らされちまう」
「……肉?」
「おう、次の島で劇するんだよ、こいつにも手伝ってもらってた! おれ前はサルの役だったからすんげー楽しみなんだ!」
「……劇?」
「そんでその指輪ナミに借りてるやつだから取られると困る!」
「……劇?」
麦わら屋は一人で話しているから会話にはならない。顔を上げてもうひとりの当事者に目を合わせて呟けば、劇です、とどこか震える声で頷かれて全身の力が抜ける。ゴムに巻きつかれているから崩れ落ちずに済んで目の前の女にはため息だけを吐いたように見えている、はず。
「紛らわしいこと、するなよ……」
「ほらトラ男、これ大事なやつだろ?」
しゅるん、と腕が解かれる。一瞬で持ち直してどうにか情けない姿を見せずに済んだものの、目の前に差し出された指輪に視線を彷徨わせながらさっき入れ替えた指輪とそれを元ある場所に戻した。交換し終えて、そしてポケットに突っ込んだ腕を色んな場所から突き刺すような視線を感じて帽子を深く被る。
「こいつのなのにやんねェのか?」
「えっ私のなんですか?」
「おれのだ」
「お前のだけどこ、うぐ」
「黙ってろ」
余計なことしか言わない麦わら屋の口をポケットに突っ込んでいない方の手で塞いでどうしたものかと考えても打開策は何も見つからない。
「まさか告白もしてないんじゃ」
「えっ、指輪は作ってるのに?」
麦わら屋の口だけを塞いでも意味はなかった。だがおれには腕は二本しかなくて、窮地に立たされたおれがすべきことは、────
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