タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/12/10


「塗りたいの?」
「ぅぐっ」

 ひっくり返してしまった化粧ポーチの中身を一緒にサンジくんが拾ってくれて……というか全部サンジくんが拾ってくれた。アッ、とショックに何も考えられずに一瞬固まってしまっている隙に、全部。それもきちんと中身が割れたり外側が傷付いていないかを確認しながら。そんなサンジくんが最後に拾い上げたそれ。つい昨日ロビンちゃんがお土産でプレゼントしてくれた真っ赤なリップだけをずっと手のひらに乗せたまま眺めているからお礼も忘れてしまって何も考えずに聴いただけなのに、何故かものすごくサンジくんを傷付けてしまったらしくようやく脳が働き始めた。

「あ、ご、ごめん?」
「え、な、なにが?」

 狼狽しながらも何かを誤魔化すサンジくんに首を傾げる。

「その、これ、……初めて見るやつだな、と思って」
「そうなの、昨日プレゼントしてもらって……色がとっても可愛いの!」

 不思議に質問を重ねる前にサンジくんがリップを摘んだまま聞いてきて思わず声が喜びに跳ね上がってしまう。なんでも大仰に褒めてくれるサンジくんに色を見てもらおうとリップを受け取ろうと手を差し出す。でも待てど暮らせど手のひらに乗らないリップに首を傾げた。サンジくんを見上げれば何故かリップを睨みつけたまま固まっていて瞬く。

「……、サンジくん?」
「誰に?」
「え?」
「昨日、レディは島に降りてねェ」

 ずっとおれといた、と俯き呟くサンジくんに戸惑う。

「おやすみ、って言ったあとにどこかに行ったの?」

 悲しげに震える声に驚いてぶんぶんと首を振っても俯いて目を伏せるサンジくんには見えていない。

「どこのクソ野郎が、」
「ロ、ロビンちゃん!」
「え?」
「ロビンちゃんにプレゼントしてもらったの!」

 どんどん低くなっていく声と勘違いに慌てて言葉を紡ぐ。途端に顔を跳ね上げたサンジくんの目がまんまるく見開いてから、真っ白な肌が真っ赤に染まって思わず頬が緩む。化粧ポーチを机の上に置いてずっと微動だにせずに固まったままのサンジくんの指からリップを引き抜いて蓋を開けてくるくると回す。

「サンジくんの肌みたいでかわいい色でしょ?」