タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/12/13
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「やってみたいの?」
「ぅひっ?!」
驚かせてしまった。だってあまりにも視線を感じてしまったから。今回の島はコスメ商品の品揃えが良くて見慣れたイーストのものやら見慣れないノースのブランドまで選り取り見取りで懐は寂しくなってしまったけれど、手元にはキラキラ素敵なコスメで気分は鰻登りで。本格的に肌に乗せるわけではなくテスターで試せなかった色の確認くらいだからと、サンジくんの好みの色とかを聞きながら開封するためにキッチンの机を占領させてもらっていた。私よりもよっぽど真剣に、というか、若干睨みつけるような熱量で見つめていたから思わず。
「いやっレディにとっても似合う色だなって思って見てただけでおれにそんな願望は絶対に絶対に絶対に死んでもねェからその」
「? だから私に塗ってみたいのかと思って。やってみる?」
無駄に慌てふためくサンジくんに首を傾げる。またやましいことでも考えてたんだろうか。真剣な表情でやましい妄想をしてるのはいつものことなんだからそんなに慌てなくってもいいのに。不思議に思いながらもキラキラ輝く新作のパレットとブラシをサンジくんの方へ向けてみる。サンジくんは器用だから顔面がそこまで事故ることにはならなそうだし、それにサンジくんがどんなメイクをしている女の子が好みなのかもわかるチャンス。
「あ、っそ、そっち? え、でもそんな、レディの肌をおれがいじって変になっちゃったら」
「サンジくんが可愛いなあって思うようにしてくれたらいいだけだよ?」
ほら、と向き合っていた鏡からサンジくんの方へ体を向けてブラシとパレットをさっきより更に突き出す。私が引かないことを悟ったのかむぎゅうと唇を変な風に動かして葛藤するサンジくん。そりゃおれが汚したくらいでレディの美しさは損なわれないけどさでもさ、とぶつぶつ呟きながらもブラシを握りしめたから小さく笑う。パレットも受け取ってもらえて腰を屈めるサンジくんに顔を上げる。
「もうちょこっと化粧しちゃってるけど、上から重ねちゃって大丈夫だから」
「う、うん」
目を閉じて待つ。待つ。……待つ?
待てど暮らせどブラシの滑る感触がやってこなくてまた妄想の世界に旅立ってしまっているのかとうっすら目を開ける。だらだらと鼻血を流して鼻の下を伸ばす姿を想像していたのに、開いた視界に見えたのはキラキラ輝くコスメをじっと睨み付けている真剣な表情のサンジくんで首を傾げた。
「……どうしたの?」
「どの色にすればいいのか……」
「私に一番似合うなって思うやつでいいんだよ」
「……どれもレディに似合う……」
うぐぅ、と血反吐を吐くような葛藤を滲ませた声に思わず笑う。ちょっとした遊び心の私のお願い事に鼻の下を伸ばす暇なんてないほど真剣に悩み抜いてくれるサンジくんがなんだか愛しくて頬が緩みきってしまう。
「サンジくんはどんなお化粧した子が好き?」
いつまで経っても悩み続けるサンジくんにまた無理難題をぶつける。無理難題だけど、答えは分かりきってる。世界中のどんなレディも大好き、でしょ? くすくす笑いながらサンジくんの答えを待つ。パレットを睨みつけていた目がフッと解けて目が合った。
「おれは君が好き。産まれたままの姿なレディも愛らしいし、可愛いメイクしてる時は可愛いし、綺麗なメイクしてる時は綺麗で可愛い。いろんなレディを見られるおれは世界一幸せな男だと思う」
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