タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/12/15


「好きな人にどうアプローチすればいいのか教えてください」

 女部屋の扉をパタンと閉めると同時に頭を下げる。右手にはナミちゃんへのお土産で可愛らしいアクセサリー、左手にはロビンちゃんへのお土産で最後の一冊だと嘘か本当か分からなかったけれど慌てて買った考古学の書物。心ばかりの金額でしかないけれど、貢ぎ物も一応きちんと用意した。なのにいつまで経っても二人からの返事が無い。あまりにも馬鹿らしいお願いだから呆れて言葉も出ないんだろうか。でもだって、可愛いも綺麗も頭の良さも度胸も全てが全てパーフェクトな二人に教えてもらえれば、停滞し続ける恋が動く気がして、だから、と必死の思いで下げた頭を上げて二人の様子を伺って固まった。
 二人して、頬に手を当てて困っている。

「……あなたはその人と恋人関係になりたいのよね?」

 私も釣られて困り眉になって固まっていたところにロビンちゃんが唐突に口を開いて、反射的に何度も頷いた。呆れてたんじゃなくて真剣に考えてくれてたんだ。うれしい。すき。嬉しくなって軽い足取りで二人へ近付いた瞬間、次の言葉に足取りが重くなる。

「お金を貢がせたりさせる手口はわかるわよ」
「私も、情報を引き出すためのハニートラップならいくらでも教えてあげられる」
「でもそうじゃないのよね、恋人になりたいんでしょ?」

 淡々と、困ったように告げられる言葉の内容に、ずっしりと心に重荷が加わった。

「ごめんなさいね、役に立てそうにないわ」
「私も」

 お手上げ、と二人して両手を上げて肩をすくめるから、ぶわっと身体中の水分が目から溢れてしまう。だけど二人がそれに目を見開くよりも先に錘をつけられたかのように重たい足を鞭打ってベッドに腰掛けていた二人へ飛びついた。ぎゅうぎゅうと二人同時に抱きしめて、驚いている二人に何か言いたくても何も言葉にできなくて胸が詰まる。二人の過ごしてきた人生に胸が締め付けられて、浮かれていた私が馬鹿みたいだった。ごめんね、と謝ることもできない。謝るのも褒めるのも、きっと違う。

「ど、どうしたの、泣くほど好きなの?」
「泣くほどの恋煩いなんて余計に専門外だわ」

 どうしましょう、どうしよう、と慌てふためく二人は私の涙の理由をすっかり勘違いしていて、何も考えずに浮かれきった質問をした過去の私をぶん殴ってしまいたいと強く思いながらわんわんと子どものように涙が溢れて止まらなかった。