タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/12/20


 絵画に描かれているような金色の輝かしい髪の毛を持つ男の子がちょこちょことホールを駆け回るのを見るのが癒しだった。商談のために訪れるたびなぜか女性客に優しいこのレストランが追い風になるかのように私に不利な契約を結ばせようとする男を運悪く襲撃に来た海賊と共に"間違えて"蹴飛ばしてくれたり、お互いにとってプラスになる商談を美味しい料理でもてなしてくれた。ガラは悪いレストランだったけど、世界で一番大好きなレストラン。最初は本当に天使がいるのかと思ったくらい一人だけとても愛らしい子どもに、だけどオーナーの子どもらしく口は一丁前に悪くて小生意気で、愛らしい見た目とヤンチャな中身に勝手に癒されたりして。まあ私含め女性客にそのヤンチャな中身が向けられることはなかったけど、それもまた可愛らしくて成長を見守るのがとても楽しかった。
 コック服からスーツに衣装替えした元天使がこほこほとたまに咳き込む姿に、風邪?と心配で声をかければさっきまで海賊たちを蹴散らしていた男の人と同じ人とはとても思えないほどやにさがって跪かれて、この大仰な態度にだけは何年経っても慣れそうにないなと小さく笑って見守る。

「風邪だったら今頃おれはせっかく来店してくれた女神とこうして話すことすらできずにジジ……オーナーに部屋に閉じ込められ、こほ」
「あ、……声変わり?」

 けほ、と照れ臭そうに笑う声がほんの少し掠れていて、頬が緩む。

「マドモアゼルに相応しい男にまた一歩近付けました」

 立ち上がって恭しくお辞儀をするサンジくんにくすくす笑う。

「声変わりしたおれの声があなたの好みだと、けほ、うれしいな」
「ふふ、楽しみにしてるね」

 嬉しそうに目を細めてごゆっくり、と何度も振り返りながらも厨房に消えた姿を見送って美味しい料理に向き直った。