タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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夢じゃなかった
2021/06/06
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ぎゅう、と抱きしめられて胸にぽっと火が灯る。血の繋がりのあるお姉ちゃんだって確かに私を愛してくれていた。でも私たち姉妹は、黒の組織という場所でお互いがお互いの人質で、お互いを生かすことにばかり必死で、愛ゆえの行動だったけど、それでもその愛を体で表現してしまえばふたりとも脆く崩れるとわかっていたから。だから、ふたりで生きることに必死で、死なせないようにと頑張ることしかできなくて、立ち止まってただ抱きしめる、だなんて一番普通の愛情表現が、私には慣れないことでいつも戸惑ってしまう。自分から抱きついたのにきっとかちこちに固まった体はきっと抱きしめにくいだろうに、血の繋がりのないお姉ちゃんは最初は戸惑っていてもいつも最終的にぎゅう、とその柔らかい女の人の体に私を埋めてくれる。
胸の中に埋めていた顔をそろり、動かして見上げる。ぱちん、と、視線が交わって驚いたように瞬いた目に私の顔が映り込む。映り込んだ私の姿は、本当にただの一年生の女の子のよう。吉田さんのように無垢で純粋で愛らしい生き物のように丸く輝く目に映り込んでいて、固まる。この私に、純真無垢な部分が存在するなんて思わなかった。だって毎日鏡を見るけれど、いつだってふてぶてしいし、可愛げだってないし、笑顔だって滅多に浮かべない。見目がいくら小学一年生だからって、それを上回る大人びた雰囲気で、子どもらしくない、だなんて言われることの方が多いのに。それなのに、お姉ちゃんの目に映る私はただの一年生の女の子でしかなくて、カッと気恥ずかしさに体が燃えるように熱くなる。
私のことを何もかも知っているのに、お姉ちゃんの目にはただの子どものように見えていることが恥ずかしい。自分から抱きついたくせに、だけど体はまだこの温もりに包まれていたくてもぞもぞとむずがゆくなる。でもやっぱり私がその目に丸裸にされているように思えると途端に恥ずかしくて、逃げを打ってしまった。後ろで、抱擁の通り魔にあって訳がわからなくなっているお姉ちゃんの声が聞こえたけれど、今の私は一年生のただの女の子だから上手な言い訳なんてできるわけもなく、ただ、この小さな足で気恥ずかしさから必死に逃げた。
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