タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/12/26
チョッパー視点
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「サンジぃ、ココア飲みたい……あれ?」
不寝番を終わらせて気が抜けた瞬間にどうにもこうにも船を漕いでしまう。いつもご褒美に甘くて美味しいココアを淹れてくれるサンジに今日も甘えようと明るくて暖かなダイニングへとてとてと足を踏み入れて擦り寄ったはずだった。もう既に寝入りそうな頭を帽子越しに撫でてくれる力の強さが、いつものサンジと違って瞬く。あれ?
ぱちぱち、と瞬いて、夢の国に旅立ちそうだった頭をどうにか動かして撫でてくれる手と腕を辿ればタバコをくわえたまま仕方ねェなと笑うサンジじゃなかった。
「わっわっわっ! ご! ごめん! おれてっきりサンジだと思って!」
ナミやロビンとも違う、柔らかな腕と手。微笑みながらおれの頭を撫でて、気恥ずかしくて逃げようとするおれを抱き上げてくるから子ども扱いのそれに余計に恥ずかしくなる。
「おはよう、チョッパー。見張り、お疲れ様」
「お、お、おはよう……」
ぎゅ、と抱きしめられてむず痒くなりながらもきちんと挨拶は返す。恥ずかしい気持ちやらなんやらで船を漕いでいた頭がほんの少しだけ覚醒して、すん、と鼻を鳴らす。おれを抱き上げたまま椅子に座って、サンジくんはトイレだからすぐに戻ってくるよ、という姿をぽかんと眺める。すんすん。何度嗅いでも香りは変わらなくて、そんなおれを不思議そうに見る目とばっちり視線が合わさって口を開いた。
「タバコ、吸ったのか?」
「え?」
「サンジと同じタバコの匂いだ」
「え、」
「サンジの匂いだったからおれ、サンジと間違えたんだ」
「あ、」
「今までタバコ、吸ってなかっただろ? サンジはもうおれが会った時からヘビースモーカーだったからあんまり口煩く言ってねェんだけど、医者としてはあんまりタバコはオススメできねェし吸い始めたばっかりなら、」
「レディはタバコ吸ってねェよ」
ハマっちまう前にやめといた方がいいぞ、と医者として忠告しようとする前に、後ろからサンジの声がして抱かれたまま振りかえる。サンジのことは諦めたとはいえ医者が忠告してる側でタバコに火をつけて吸う姿に少しだけ呆れてしまいながら、サンジの放った言葉を思い出して首を傾げた。レディはタバコ吸ってねェよ? すんすん。でもだってほら、タバコの匂いがこんなにも濃い。
「おらテメェなにずっと天国に座り続けてんだ野郎ならひとりでしゃんと座れ」
「わっ!」
首根っこを乱暴に掴まれた、と思ったのに、全然痛くない謎の持ち方で抱かれていた膝から退けられて、ひとりカウンターの椅子に放り投げられる。ぽすん、と見事に着地できて、オオ、と心の中でサンジの手腕に喝采を浴びせる。
「おらよ。レディのお膝っつーご褒美を貰っといておれの特製ココアまで飲むなんざ贅沢にも程があるトナカイだぜほんとによォ」
ぶつくさと訳のわからないことを言いながら、ぽかぽかのココアの中にはマシュマロまで浮いていて頬が緩む。どっちを先に言ったか忘れてしまったけどきちんとサンジにありがとうといただきますを言えばにっかり笑ってくれるから気持ちもぽかぽかあたたまる。通りすがりに一度頭をぽんと撫でられて、レディにも今持ってくからねェん♡と台無しな表情を浮かべてテーブルの方へ陽気に駆け出すサンジ。跪いて差し出してその大仰な態度をくすくす笑われているのがふりかえらなくっても想像に容易くて甘いココアで身も心もあたためた、瞬間、聞き取れないくらい小さな声でサンジが何かを呟いたんだと思う。
「ッ、サンジくん!」
「はは、ごめんごめん」
何かを囁いたサンジを咎めるような声に驚いて今度こそココアを持ったまま振り返れば真っ赤に頬を染めて、怒ってるような、恥ずかしがっているようなよくわからない表情で唇をぱくぱく開け閉めしている姿を見てサンジがいつも以上にニヤけた顔でデレデレしていて首を傾げた。
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