タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
← →
2021/06/07
▼
あまりにも俺のことを信用しない女に段々イラついてくる。顔も性格も良くて、だから私なんか釣り合わないよ。俺のことを性格が良いと思ってんならお前が好きだと言う俺のことを信じろよ。なんて思う俺は性格なんて良くなくて、あの断り文句は体良く断るための方便なんじゃないか。そもそもどこをどう見たら性格が良く見えるんだよ。松田くんって顔は良いのに愛想もないし冷たいし怖いよね、勿体無いよね、だなんてのがそこらの女の俺に対する評価だぞ。確かに顔はきゃあきゃあ言われることの方が多かったから嫌でも自覚してる。でも俺は全く猫を被ったり媚を売ったりだなんてことをしない人間だったから、勿体無いよね、といつも萩原を持ち上げるための要員だったんだ。それなのにお前は俺のことを性格が良いだの優しいだの、お前だからそうしてるのに、だからお前以外からはそんな評価は受けないのに、それなのに釣り合わないだと? お前に釣り合うように猫を被って媚を売って、下心から優しくしてるのは俺の方なのに。
どうすりゃ信じるんだよ。お前だけが好きなのに。お前だから優しくしてるのに。何が足りないんだ、どうすりゃいいんだ。
情けなくも頬に涙が伝った感触がした。猫も何もかも取っ払って、お前が好きなんだよと、縋り泣く姿はなんともみっともない。くそ、と悪態を吐いて俯いた。
「……信じてあげられなくてごめんね、泣かないで」
また、ごめんね、の言葉。何度柔らかな拒絶を受けても諦めきれない。
「ごめんね、松田くんが素敵だから信じられなかったの。好きだから、私よりもっと素敵な人がいると思ってたの。でも、もしまだ、間に合うなら、松田くんの涙を拭っても良い?」
ばっと、勢いよく顔を上げて見つめる先には頬を染めて困ったように笑う、初めて見る姿で唇が震える。
「間に合うも何も、一生、お前だけが俺に触って良いし、……これからはお前に触れて良いのも俺だけになりたい」
ぐず、と涙に濡れた声で言ったって格好がつかない。でもこんな俺でも受け入れてくれるなら全部あげるから、全部くれ。こくん、と頷いた姿を見てぎゅうっと心臓が苦しいほど締め付けられた。
← →