タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/06/09


 ちょっと屈んで?と可愛らしくお願いされたら男がやることはただひとつ。すぐ屈む。それだけ。何も考えず言われた通り反射的にレディの前に膝をついて傅けば、そこまでしなくていいんだよとなんだか申し訳なさそうに微笑まれてしまった。謙虚な君も素敵だ。うーん、と考え込んだレディが何か思い付いたのかにっこり微笑んで、その天使の微笑みが直撃してメロリンする暇もなく手を取られて固まる。エッなんのご褒美ですか?? 戸惑いながらおれとは全然違う小さな手を見つめていればきゅっと人差し指と中指を握られて鼻血が出そうになる。なんのご褒美ですか?

「こっち」

 跪くまでしなくていいの、と促されて誘われるがままに立ち上がる。ふらふらと花に近寄る虫のようにレディの後頭部を見つめながらついていけばソファに座って、さらにその隣へ座るように促されてここが天国か? 歓喜に泣きそうになりながら、でも涙でレディが見えなくなるなんて勿体無いことできなくてギュッと涙腺をどうにか締めて、そっと隣へ座った。満足そうに頷くレディが可愛い。

「本当はいつも頑張ってくれてるサンジくんの頭を撫でたかったの」

 目的地についてしまったことで離された手が寂しくてまた泣きそうになった、なんて思ってる場合じゃねェ。おれが跪かず、レディの言うとおりただ屈んでいればそんなご褒美があったなんて知らなくて、それを逃したことに血の涙を流したくなる。なんでおれは素直に屈まなかったんだ。くそ。でもレディに対して反射的に傅くのがおれだし、とぐるぐる考え込んでしまう。

「なんで泣くの。やめるなんて言ってないよ」

 エッと目をハートにする。というかおれ泣いてましたか。そこまでレディが引いてないから血の涙じゃなくて普通の涙が流れてるんだと思う。よかった。血の涙流してたらチョッパー呼ばれるところだった。うきうきして、頭を下げる。ふ、とレディが微笑んだ気配がして心臓が高鳴ったのも束の間、死んだかと思った。

「膝枕、してあげようと思って」

 その言葉とともに頭をそっと抱えるように柔らかな太ももへといざなわれて、吸い込まれるように胴体を倒した。

「エッおれ死ぬ?」
「お礼になってそうでよかった」

 さらりと髪を撫でられ、頬を滑ったレディの手に、意識を飛ばさないようにするのに必死だった。