タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/05/14


「サンジくん」

 声が聞こえた瞬間すぐさま尻尾を振って跪く姿はみっともないだろうか。レディの評価がおれの全て。愛のプリンスを望まれたときはそうあるべきだし、一流のコックを望まれたときも斯くあるべきだし、ナイトを求められたときもすぐさま馳せ参じるべきだし、ただ呼ばれて愛でられるのも、他人からどう見られるかだなんて瑣末なこと。ただレディが笑ってくれるならそれでいい。
 微笑んだレディの手が伸びて首を傾げそうになる。ああ、でもたまに頭をふわりと撫でられることがあった。サンジくんの頭はまるくて撫で心地がいいね、と。自分じゃあよくわからないが、おれの一部が気に入られているのはとても嬉しい。今回のご要望は頭を愛でることだったのか、と撫でやすいように傾けようとした、のに、頭に触れた手はふわりと載せられたわけじゃなくてぐい、と優しく引き寄せられた。
 引き寄せられた先は、柔らかなレディの首筋で、肩で、後頭部に添えられていない方のもう片方の腕はしっかり背中に回されていて、抱きしめられているのだと理解して固まる。鼻血なんて出る暇もなかった。あまりの衝撃に意識が飛んだのかと。

「泣きたいときは、泣いていいんだよ」

 そっと耳に直接吹きかけるように囁かれた言葉に、鼻の奥がつんとした。衝撃の連続に、上手い言い訳も出て来ずに固まったまま。おれが無意識に擦り寄ったのか、レディの力が加わったのかすらわからずレディのどこもかしこも柔らかい肩口に鼻を埋めた。