タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/06/11


「どうしたの、野薔薇ちゃん。可愛い顔が可愛く……いやふてくされてても可愛い顔は可愛い顔のままだね……」

 私の言葉にぶすっと更に顔を歪ませた野薔薇ちゃんに苦く笑う。どれだけ機嫌が悪かろうと可愛いものは可愛いんだもん。恋する乙女なんだから仕方ないでしょ。まあ私の言葉は全部戯言と取られて信じてもらえてないのだけど、信じてもらえなくても野薔薇ちゃんが可愛いことは事実だからこれからも挫けずに言い続けよう。

「つめ、」

 野薔薇ちゃんの返事を待っていたけど、その返事に首をかしげる。つめ?

「アンタに塗ってもらった爪、が、はげたの」

 んっ、と目の前に手を突きつけられて瞬く。目の前すぎて見えない。眼前にある野薔薇ちゃんの手を掴んでまじまじと眺める。ほんとだ、野薔薇ちゃんに似合うと思って買った赤いマニキュアがはげてる。

「せっかく、おそろいなのに」

 ぽつりと落とされた言葉にぎゅうううっと痛いほど胸が締め付けられる。かわいい。すき。かわいい。だいすき。爪先を見つめていてよかった。野薔薇ちゃんの目を見て、言葉を直撃で食らったら死ぬかもしれないくらいときめいた。ばくばくと高鳴る心臓に、脳が酸欠状態になって正常な思考回路がどこかへ飛んでいってしまって、気付いたときにはほんの少しマニキュアのはげた短くて小さな爪に唇を落とす。
 ビクッと面白いくらいに跳ねた手が私の唇から逃げて、熱が冷める。やってしまった。さすがに今のは女の子同士でも友情のフリはできないだろうな。告白をする勇気はなかったくせに、あんなことをしでかす勇気はあったんだから、腹を括って言ってしまえ。
 ぐ、と唇を噛み締めて野薔薇ちゃんに視線を戻せば、爪に乗せた赤い色のマニキュアもびっくりなほど野薔薇ちゃんの頬が真っ赤に染まっていて、思わず呟く。

「かわいい」
「なっ、なっ……アンタ、ばか、なに、」
「野薔薇ちゃん、だいすき」