タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
若干の本誌ネタバレ有り
2021/06/12


「また勝手に誰か助けてきたんでしょ」

 あ〜えっとぉそのぉ、といつもぺらぺらと回る口がもごもごと意味のない形ばかり作る。ジッと見つめてもサンジくんのほっぺや、ぼろぼろになったスーツが綺麗になるわけでもない。サンジくんの優しさは際限がなくて、困ってる人を見かけるとすぐ身を挺して助けに行ってしまう。強くて賢くて頼りになるサンジくんは、こういう時だけ馬鹿になる。
 私がどうして怒ってるのか、わからないんだろうな。女の子にだらしがないのを怒ってると思ってるかもしれない。違う。自己犠牲が過ぎるサンジくんのことを怒ってると思ってるのかもしれない。違う。女の子にだらしがないのも、自己犠牲が過ぎるのも、それがサンジくんだから、怒ったことなんてない。ただ、不必要な自己犠牲ばかりするから怒ってる。ひとりでばかり解決しようとするから怒ってる。私達仲間を頼ってくれないことを怒ってる。
 サンジくんには電伝虫を渡してた。新しい島で、偵察を頼んだから。なのにサンジくんはその電伝虫で連絡を取らずに、一人で勝手に何もかも解決して、ぼろぼろになって、みんな降りても大丈夫な島だよ、だなんて帰ってきた開口一番にそう言ったから、だから私は怒ってる。なんのための連絡ツールなの。どうして一人で解決するの。どうしてわかってくれないの。伝えたい言葉はたくさんあるのにジッと見つめることしかできなくて、せめて居心地悪く思えば良い。何もわかってくれないサンジくんに、じりじりと胸が焼け焦げる気がした。

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 なんて、ぼろぼろになったスーツを久方ぶりに見て昔のことを思い出した。これを着ていた人もぼろぼろで、今はスーツの代わりに包帯を巻かれている。

「は〜……情けねェ……」
「何が?」

 血を流しすぎた怪我人だからかチョッパーにしばらく吸っちゃ駄目だぞと怒られたタバコを口に咥えるだけ咥えてひょこひょこしながら呟くサンジくんに尋ねる。

「ゔ〜……レディに、助けてって言っちまった……」

 唸るように呟かれた言葉に思わず笑った。

「昔みたいに勝手に何もかもひとりで抱え込んでぼろぼろになって解決してくるサンジくんより、みんなを頼ってくれて一緒にぼろぼろになって解決することを選んでくれる今のサンジくんの方が好き」
「ぅぐ」