タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/06/17
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レディはどこに行ったんだろう。おやつを渡したいのに麗しの女神が集う花園には一人女神が足りなくて、トレイに一つだけぽつんと寂しげに余ってしまったデザートが哀れだ。ナミさんもロビンちゃんも肩をすくめるだけ。ふたりがあまり心配をしていない様子に、体調が悪かったりなどの危惧はしなくてもよさそうだと胸を撫で下ろしたものの、心配は心配でトレイ片手にうろうろと彷徨う。
一人きりになりたくておれに見つけられるのが困るならきっとナミさんたちがそっとしておいてあげてと言うはずだから、探してもいいはず。好きなレディが一人普段と違う行動を起こせば心配になるのは当然で、だけどちっとも見つからない。今日のおやつが溶けるようなデザートでなくて良かった。なんて考えながら図書館に足を踏み入れて、瞬時に扉を閉じた。一瞬だったけど、レディの綺麗な目玉からさながら宝石のように透明な雫が流れ落ちたのが見えたから。ナミさん、ロビンちゃん、どうしてそっとしておいてあげてとおれに言わなかったの。レディの涙を拭いたいけれど、別にそんな関係じゃないおれがそんなことをしたら、気持ち悪いだろうし、気持ち悪く思われなかったとしても優しい彼女は気を遣ってむりやり笑顔を携えるに決まってる。
「ごめんねサンジくん、おやつの時間、忘れてた」
ほら。涙を拭いてぎこちないながらも笑顔で扉を開いたレディにおれの方が情けない顔をしてしまう。
「……何があったかは聞かないけど、悲しいときこそ美味しいものを食べて」
「聞かないの?」
「聞いていいの」
困ったように笑うレディに食いついてしまったことを後悔した。本当は、扉を閉めずに足を進めたかった。レディの頬を伝う涙を指で拭いたかった。
「ちょっと悲しくなっちゃって」
「レディが悲しいとおれも悲しいよ、おれが君になにかできたらいいのに」
自分で言った言葉のくせにとても軽く聞こえて歯噛みする。君が望むことがあるなら本当になんだってしてあげたいのに。ふふ、と楽しそうに笑われてやっぱりおれの言葉は軽々しく聞こえてしまうんだなと肩を落とす。
「じゃあ私が悲しくなったときはぎゅってしてくれる?」
「それおれにとってはご褒美でしかないけど、レディはそれで元気になるの?」
突拍子もないご褒美に間抜け面になってしまった。それレディになんのメリットがあるの? 嬉しいけど。嬉しいけども。涙を拭う人差し指さえレディに触れるのを躊躇う関係性なのに、なんでレディからそんなご褒美もらえるんだ? 悲しくなりすぎてレディの判断基準が狂ってしまったんだろうか。チョッパー呼ぶべきか?
「悲しい気持ちを忘れられてすごく元気になるの」
「ほんとに? なんかおかしなもの食っ……いやおれがこの船のコックである限りおかしなものなんて食わせないけど、エッ」
間抜けに突っ立っていたおれに呆れたように笑うレディにやっぱり冗談だったのかと残念なような安心したような、残念な気持ちになっていればふわりと柔らかなものがおれの体に巻きついて固まる。見下ろせばレディの愛らしいつむじ。ということは、ぎゅっ、とされていて、じわじわと体が発火しそうになる。
「おやつ、持ってきてくれてありがとう」
「ドっ……どういたしましてレディ当然のことだよ」
どっどっどっと早まる鼓動と同じく自然と早口になる言葉で返す。どうしたらいいんだ抱きしめ返していいのかそれは気持ち悪くないかでもそもそも気持ち悪かったらレディから抱きついてくれるなんてことしないだろうし、ぐるぐるぐる。
「どう?」「サンジ、固まっちゃったわ」「だめね〜……本命にはヘタレちゃうのかしら」「あの子も抱きつく勇気があれば言えばいいのに、かわいらしいふたりね」「じれったすぎて腹が立つだけよ」「うふふ、そんなに心配しなくてもあのふたりなら大丈夫よ」
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