タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/06/18


 ほっぺが膨らむほど口の中に美味しいごはんを詰め込んでもぐもぐと食べる。サンジくんは私たち女性の食事をルフィから守ってくれるからこうしてほっぺが膨らむほど慌てて詰め込む必要はないんだけど、ほっぺがとろけるほど美味しい料理の数々にどうしても一口が大きくなってしまう。
 好きな人の前で大口を開けてたくさん食べるのはほんの少し気恥ずかしく思ったことも何度かあったけど、だけどサンジくんはやっぱり生粋の料理人で、どんな可愛い女の子を見つけた時より私たちが美味しくごはんを頬張っている姿を見るときの表情が一番誇らしげで優しくて、ずるいほど可愛い笑顔になる。だから今は気にせず好きな人の好きなごはんを毎日たくさん食べて感謝をしてる。
 私たちの体はもうサンジくんの料理でかたどられていて、サンジくんの料理で生かされている。サンジくんのごはんを一度食べたらもう他じゃ満足できなくて、細胞ひとつひとつがサンジくんの料理に侵食されてる。恋をしている私は料理だけじゃなくて、サンジくん自身にも侵食されていて、身も心もサンジくんなしではもう生きられないなあだなんて考えて小さく笑う。
 お腹が膨れてひとりまたひとりと満足してキッチンから去っていって、騒がしかった場所が一気に静かな空間になる。かちゃかちゃと咥えタバコをしながら大量のお皿を洗うサンジくんをカウンターで食後の飲み物をいただきながら間近で眺めた。洗い物を手伝いたいなと言ったことはあるけどレディ至上主義なサンジくんが頷くわけもなく、私はいまだにサンジくんと一緒に並んでお皿洗いをしたことがない。

「楽しい?」
「サンジくん見るの? 楽しいよ。一緒に洗い物できたらもっと楽しいと思う」
「いやいやレディは座ってて」

 隙あらば再チャレンジはしてるけど頷かれたことは一度もなく、唇を尖らせて飲み物を飲む。

「拗ねないで。だってさァ、……ふたりでしたら早く終わっちまうだろ? おれ、レディとこうしてふたりで過ごすの、好きなんだ」

 ひひ、と唇を緩ませながらこの場にふたりしかいないのに内緒事を呟くみたいにひっそりと言われた言葉に、目を奪われる。女の子相手ならきっと誰でも幸せになるサンジくんに他意はなくても、サンジくんに恋する私にはとてもとても嬉しい言葉で、体温が上がった気がした。