タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/06/20
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これまでか、と鼻で笑う。笑った拍子にぼこり、と空気の泡が海中に広がってただただ沈んでいく。誰も信用しないおれが、誰かに助けられるわけもなく、ただただ沈む。大抵の奴らはおれが沈んだのを喜んでいるんだろう、雑魚どもめ。仮にも海賊なら自分で命を奪いにくる度胸を見せればいいのに、それすらもできないやつに喜ばれるのは癪に触るが、仕方がない。まあ先に地獄で待っているからせいぜい束の間の自由を楽しむが良いさ。
ぽこ、ぽこ、くらげのように泡が口から溢れていく。魚はおれを見た瞬間、どう見ても死にかけのおれ相手でも逃げていってただひたすら海、海、海。
海、のはずだった。猛スピードでおれに近寄る何かの気配に視線だけを寄越す。ぱちん、と目が合って驚いた。人魚か、と思う暇もなく、ぐんっと体を引っ張られどんどん遠ざかっていっていた海面へ上がっていく。こいつ、馬鹿なのか。顔に縫い目があって、鉤爪、それだけで海に溺れ落ちた王子様なんかじゃなくただの海賊だとわかるだろうにどうして助けようとする。馬鹿はどこにでもいるんだな、と呆れた。
「大丈夫? ねえ、息できる?」
「ゴホッ」
「大丈夫そう、よかった」
どこがだ。長らく沈んでいたせいで水を吐き出し酸素を求め咳き込んで返事などひとつもしていない。
「あなたどの船から落っこちちゃったの?」
ぷかぷかと浮かびながら尋ねられても喉が落ち着かねェんだちょっと待ってろ。人間様の構造を知らねェのかこの馬鹿は。
「こんなに立派な体をしてるのに人間ってか弱いのね……大丈夫よ、ちゃんと送ってあげるからね」
事もあろうにこのおれをか弱いと言い出した人魚をぎろりと睨む。水に浸かってさえいなければお前なんぞ瞬時にミイラにできるおれを、か弱いだと?
「落ち着いたらどの船から落っこちちゃったのか教えてね」
大丈夫よと微笑む女にあやすように抱きしめられても呼吸を落ち着かせることすらままならない状況で、か弱いというレッテルが今だけは事実でしかないことに内心で盛大に舌打ちをした。
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