タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/06/23


「おい」
「ふぎゃ」

 ベポにしがみついてもふもふを堪能している後ろ姿にイラついて首根っこを掴んで引き剥がす。間抜けな声と共に視線がこちらに向いてほんの少しだけ溜飲が下がった。向けられた視線がとても自船のキャプテンに向けるものではないのを差し引けば、だが。

「何してる」
「ガルチューですよガルチュー」

 ばたばたと手足を動かして逃げた先でまたそのガルチューとやらをする女に眉間に皺が寄る。こんなに騒がしくしてるというのにベポは全く動じず、寝息を立てたまま。

「ゾウで毎日ガルチューしてたらもふもふに埋もれてないと生きていけない体になっちゃって……ウチにベポがいて本当によかった……」

 ガルチュー、と唇すら寄せそうな気配にぴくりとこめかみと口端がひくつく。おい。意識せず出た声が思いの外低くておれも驚いたし、放たれた側はもっと驚いてベポに抱きつきながらも目を丸くしておれを見上げている。

「おれの、」
「? ……ああ、どうぞ」

 何が言いたいのか自分でも分からなくて、一言呟いて固まった。そんなおれを見てなぜかおれより得心がいったとでもいうように頷いたかと思えば、もぞもぞと動きベポの左側を開けて促しはじめて固まる。そうじゃあねェ。そう思った瞬間、さっきは何が言いたかったのかわからなかった言葉の続きが頭に思い浮かぶ。シャンブルズ、と呟いておれとベポの位置が入れ替わる。

「おれのガルチューで生きていけばいい」
「むりしぬ」

 ベポには密着して溶けていた腕が、ぴんとまっすぐに伸ばされおれの胸板を押し返すのには腹が立つが痛くも痒くもないし、まあ、真っ赤な顔に免じて許してやろう。