タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/07/06


 ゾロが困っているのが見なくてもわかる。ぼろぼろと零れ落ちる涙のせいでベッドに横たわっているゾロの表情を全く読み取れない。ゾロはいつも、自分をかえりみない。ゾロが命なんてとっくに捨ててて、前に進むためなら足を切り捨てる覚悟をすぐにしてしまうような人で、死が目前に迫っても敵に背中を見せない、強い人だってことは痛いほどよくわかってる。自分の命を粗末に扱ってるわけじゃない。最後の最後まで諦めないし、命を捨ててるって言いながら、それでもちゃんと生きようとしてくれるし。わかってるのに、わかってるけど、見てて苦しくなる。ゾロは強いけど、私は弱いから、みっともなくてもいいから背中を向けて逃げてほしいと思ってしまう。せめてそれを言葉にできればいいのに、言えばきっと、嫌われることがわかってるから口にしないだけの私の卑怯さにも苦しくなる。ちかちかと夕日が眩しくて、余計にゾロの顔が見えない。洪水のように涙が流れる頬にざらついた皮膚が触れて息を呑む。ゾロの、手。私の涙を拭うように、私を慰めるように私の頬を不器用に撫でるゾロに、余計に涙が溢れてゾロが困惑したのが触れた指先から伝わる。

「なァ、」
「何も言わないで」

 ゾロはきっと謝らない。だってそれがゾロの生き様だから。だから続く言葉がなんだったのかわからないけれど、それでも今は、ゾロの言葉を聞く自信がなくて、涙に濡れた声で遮った。