タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2021/07/11


 言葉が足らないと何度も言われた。

「なにもサンジくんのようにしろって言ってるわけじゃないの。でもあんたは言葉にしなさすぎ。そんなんじゃ横から誰かに取られるわよ」

 ナミにくどくどと言われた言葉が何度も頭をよぎる。叱られた方がマシだった。どこか哀れみのこもった音にじわじわ腹の底に何かが溜まっていって眉を顰める。

「誰かに取られるも何も、あいつは自分の意思で肯定も否定もできる人間で、物扱いしてるてめェの方が失礼だろ」

 そう吐き捨てた途端、哀れみに垂れ下がっていた眉がにんまりと揶揄するようにつりあがって頬が引き攣る。

「あいつ、って誰?」

 楽しげな魔女の言葉に視線を外す。外した、はずなのに、ずい、と前に出てこられて無理矢理視線を交わらされる。

「私は誰とは言ってないわよ。あんたが思い浮かべたのはだあれ?」

 うるせェな。そう言いたいのに唇はむっつりと真一文字に引き締まったままで眉間に皺が寄る。

「ほらそうやってダンマリ決め込む」

 まるでおれの為と言わんばかりの言い方をしてるが、目が面白いものを見つけた時の輝きなんだよ。少しは隠せ。

「あんたの背中で語る、不言実行なところは人としてすごいと思うわ。だけど、はっきり言わなきゃ伝わらないものもあるのよ」

 にんまり笑って、距離が開く。言い逃げされるのにムカついて、だけどナミの言葉は正論で適した言葉が思いつかない。

「私はあの子が大好きなのよ」
「……そういうのは、本人に言うもんだろ」
「私はあんたと違って毎日伝えてるの」

 ようやく呟けた言葉は簡単に絡め取られて眉間の皺が深くなった。うるせェな。簡単に言えるもんならこんな風に苦労なんざしねェんだよ。