タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/16
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全部終わった。コラさんの敵討ちも、何もかも。悲しみの元が絶たれれば、悲しくなくなると思った。無力だったあの頃のように泣いたりはしなくても、悲しみが消えることはなかった。コラさんがかえってくるわけでもなかった。仇を討ってもふとあの笑顔を思い出して胸が苦しくなるのは変わらなかった。でも、あの頃のようにひとりで泣き喚かなくていい。今のおれには、仲間がいて、何もかも計画通りにはさせてくれない同盟もいて、ひとりで抱え込まなくても良いと理解した。嫌でも理解させられた。
「キャプテンが明るくなって嬉しいです」
目の前で茶を飲みながらメシを食うおれを見てしみじみ呟いたクルーに眉を顰める。嬉しい、と再度呟いて聞き間違いじゃなかったことを悟る。どこがだ。どこを見てそう思った。確かに胸のつかえはおりたが、染み付いた生活習慣は変えることはできずに隈が酷く、愛想が良いとはとても言えない態度のおれのどこが明るいんだ。明るいっていうのは麦わら屋達のことを言うんだ。目が腐ったのか。外科医の範疇じゃないが眼の診察もしてやろうか。
「私達じゃ、無理だったから」
持っていた茶に視線が落ちて眉間の皺が深くなる。無理も何も、そもそも明るくなってねェんだが。今思えば麦わら屋が桁違いに人を振りまわし話を聞かないから忘れてたが、ウチのクルーどもも大概人の話を聞かねェ連中だった。ここではキャプテン権限があるおかげで最終的に言うことは聞いてくれるが。
「……明るくなっただのなんだのはあとでお前の眼を検査することにするが、そもそもお前らがいなけりゃおれは生きてここでメシ食ってねェ」
目が溢れるんじゃねェかってくらいまんまるに見開いた目がまた機嫌の悪そうなおれをうつして黙り込む。どうしておれがこんな小っ恥ずかしいことを言わなきゃならない。お前らが待っているから生きて帰ってこれたんだ。さっきので伝わっただろうと残りを全て喉の奥へ流し込んで立ち上がる。なのにまだ訳がわからなそうにぽかんとおれを見上げる姿に呆れた。まあ、そもそもがわかってねェから馬鹿げた思考回路に陥ったんだろうが。
「おれの他にお前らの面倒を見られるやつがいるなら連れてこい」
ぱちぱちと瞬きを繰り返す間抜けな表情に鼻で笑う。そんなやつ、いねェだろ。持っていた茶飲みを割るんじゃないかってくらい勢いで机に叩きつけて勢いよく立ち上がった姿に今度はおれが驚く。わなわな体を震わせていて、思わずどうした、と言葉がついて出た。
「キャプテンが愛しくて抱きつきたいのを我慢してます」
返ってきた言葉に何も返せなくて空気が漏れる。
「私達にはキャプテンだけだから、だから、本当はついていきたいけど、でもちゃんと、良い子で待ってますから、だから、絶対に生きて帰ってきてくださいね」
潤んだ目と視線が合いそうになって反射的に手を動かした。パッと目の前の潤んだ瞳が消えて、ゼロ距離へ。お前のそんな顔は困る。し、おれ以外が見ても困る。乱暴に後頭部を引っ掴んで体に額を押し付ける。ふぎゃ、と蛙のつぶれたような声を出したクルーにあの表情をおれにも誰にも隠し切ることができてホッとしつつ手を緩めず顔を上げた瞬間、ばちん、とベポと目があった。
「キャプテン顔真っ赤! 熱? 大丈夫?」
大丈夫じゃねェ頼むからお前ら黙っててくれ。
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