タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/17
夢じゃなかった
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「ひえっ」
久しぶりに聞いたな、それ。思わず頬が緩んでしまって、それが追い討ちをかけたのか心臓を胸でおさえて呻いた姿に今度こそ声を出して笑ってしまった。
「あああ笑わないでかっこいい」
「また無理なことを」
20年経っても相変わらずこの顔を好いてくれることが嬉しくて、やにさがってしまうのは仕方ない。もともと明るい髪色をしているからあまり目立たないけれど歳には勝てずに確かに白髪が現れていて、陶器のような肌だと褒めそやしてくれた肌だってハリやらなんやらが失われて年相応になっている。呻く頻度は下がったもののそれでも変わらずこの顔が好みなようで際限なく頬が緩んでしまう。毎分毎秒美しくなるので慣れるなんて無理です、なんて言っていた頃を思い出す。20年経っても慣れなかったな、本当に。
「いつになったら慣れるんだ?」
「零さんが零さんである限り無理です。49歳の零さん……かっこいい……むり……」
「さすがに百歳の俺に呻くことはないだろ?」
「呻く自信しかないですけど」
即座にきっぱり言い切られて喉を鳴らす。
「そろそろ慣れてほしいんだよなあ」
「さすがに20年も言われ続けて鬱陶しくなってきましたか?」
不安気に瞳を揺らいで言葉選びを間違えたと一瞬焦る。君のこととなると潜入捜査で培った交渉術やらなんやらがすぽんと抜け落ちて間抜けに振り回される俺のどこがかっこいいんだ。すごい情けない男だぞ、俺は、なんて心の中で反省して手を引いて抱き寄せる。近くなった距離に、ウッとまた呻く声にまなじりが下がった。
「俺がかっこつけてる時は、君も目一杯おしゃれをしてくれているから可愛いのに。そろそろ君が俺を褒める番は終わりで今度は俺が俺の可愛い妻を思う存分褒めたいなと思って」
「ぴっ」
俺の腕の中で奇声を上げてくたりと力が抜けた妻に、まだまだ無理かと笑って唇を落とした。
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