タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2021/07/19
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帽子を大事にお腹に抱えて私の膝枕で眠っているチョッパーの頭を撫でてため息をつきそうになるのを堪える。膝に乗るチョッパーはかわいい。とっても癒される。だけれどパラソルの下で優雅にサンジくん特製オレンジジュースを飲むナミちゃんとロビンちゃん、そしてその二人にメロリンメロリン体をくねらせているサンジくんを見て悲しいほどに憂鬱になる。サンジくんは病的な女好きで、本当に見境無く女の人とあれば誰でもああやって口説いていたのに、私だって、最初の頃はあんな風に口説かれてくにゃくにゃに体を動かし目をハートにされていたのに、今ではもう、見る影もない。
サンジくんを好きな私は意味なんてないただのナンパな言葉でも好きな人からかけてもらえる蝶よ花よと言うまるで自分がお姫様になったかのような言葉の数々に、特別な意味なんてないと分かっていてもそれで満足していたのに。それすらもなくなって。だけど嫌われてるわけじゃない。男の人に対するような雑な扱いじゃないし、あの口説き文句が鳴りを潜めただけで普通の世間一般の男の人よりははるかに女の人に対する接し方としては甘い。それでも前はあんな風に口説かれていたのがなくなって、好きな人の態度が変わってしまったことに嘆いてしまうのは仕方がないことで。
サンジくんは私のことを目に入れても痛くない妹枠、もしくは姉枠に入れちゃったんだろうな。きっと、そう。好きな人に恋愛対象外だと通告されたことが悲しくて、寂しくて、私に向けられることのなくなった言動を見たくなくて俯いてチョッパーを撫でることに専念する。眠りながらも頬を緩めてくれるチョッパーが可愛らしくて、ほんの少しちくちくした痛みが薄れた。ふ、と微笑んだのと同時に、こつ、と控えめな靴音が聞こえて顔を上げれば、トレーに私の分だろうオレンジジュースを乗せたサンジくんが近くに立っていて驚く。そして癒えた傷がまたちくりと疼いた。だってほら、やっぱり私にはもうあのくんにゃりとしたメロリンは見せてくれない。
「……あのさァ」
「?」
火のついてないタバコを咥えながらオレンジジュースを手渡されてチョッパーを撫でていない方の手でお礼を言いながら受け取る。受け取ったはずだった。一度離れた手がまた私の手を覆うように重ねられて固まる。全くびくともしないサンジくんのやりたいことがわからなくて見上げれば困ったように眉根を下げてるから余計に混乱する。
「チョッパーは確かにトナカイで、子どもだけどさ、……一応男、オス?なんだから、あんまりそういう、膝枕とか、しねェ方がいいと思うな、おれは」
言われた言葉をゆっくり頭の中で噛み砕いて、訳のわからない言葉に緊張していた体がほどけて思わず笑ってしまう。
「チョッパーは大丈夫だよ。……サンジくんの私に対する扱いみたいなものなんだからそんなに気にしなくたって」
そして自分で自分を無駄に傷付けてしまった。私のばか。サンジくんが驚いたように目を見開いて、掴んでいた手のひらの力が緩んだ隙を見て手を引く。するりと拘束がほどけて、だけどまた追ってきた手に今度こそ、えっ、と困惑に言葉が漏れた。
「じゃあ余計に駄目だ。今すぐおろして」
見上げたサンジくんは殊更に真剣な顔をしていて混乱する。
「え、でも、」
「駄目だ」
「だって、私、は、その、サンジくんにとって、妹とかそういう感じの扱いで、だからチョッパーもお姉ちゃんに甘えるみたいな感じ、で」
「……妹? なんでそう思ったの」
甘く低い声がどこか責めるように詰問してくるから思わず口を閉しそうになる。なんで、って、
「だって、メロリンしない、し」
「好きな子にはかっこよく見られてェと思うのは、普通だろ? え、ちょっと待って、おれのアピールは何も通じてなかったってこと?」
「え、」
久しぶりの色を伴った言葉に、じわ、と目元が熱くなっていくのがわかって視線を彷徨わせる。好きな子、サンジくんのそういう言葉に意味がないことはわかっていても、それでも久しぶりの好きな人からの甘い言葉に照れてしまう。
「いやまァ、自業自得っつーか、日頃の行いのせいだよなァ……。レディ、おれはさ、レディが特別なんだよ。今更感があるかもしれないけどレディの前ではかっこつけたいし、かっこつけたいのに子どもだろうがなんだろうが他の男に膝枕してるのが許せないし、……はァーー、クソ、情けねェ……かっこつけて伝わってなかったら意味がねェよな」
視線を合わせられずに俯いていたのに、レディ、と呼ばれてしまって魔法の言葉のように逆らえず顔を上げてしまった。ばちん、と目と目が合って、サンジくんの白い肌がほんのり桜色に染まっているのがわかる。
「おれはレディのことを愛してるんだ、妹扱いなんかじゃねェ。ひとりの女性として、君が好きだ」
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