タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/06/08
⚠️ゾロの暴言
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「お前なんか嫌いだ」
唸るように吐き出した言葉は地面に落ちて、なんの反応もなかった。嘘だ、反応があったかなんてわからない。だっておれはずっと展望台の床を睨みつけていて言葉を投げつけた相手を見ていなかったから。トレーニングをしているおれにおやつを差し入れに来たのが心をざわつかせる女だったのが見なくてもわかったから、持ってきたよ、の言葉を女が紡ぐ前に吐き捨てた。苛々する。鍛錬の邪魔ばかりするこの女に。おれの声が届いていないのか、出て行かずにこつこつと靴音を響かせてベンチに座る図太い精神が嫌いだ。
「出てけ」
「どうして?」
どうして?
その言葉に思わず唖然として床に落としていた視線をムカつく女に向けてしまった。仮にも仲間から嫌いだの出てけだの理不尽に言われたにも関わらずにっこりと笑みを浮かべているその姿に眉間の皺が深まる。おれから視線を外してコックから手渡された籠に手を突っ込んで自分の分まで持ってきたのか今日のおやつを手に頬を緩ませる姿に更に苛立つ。どうしてもなにも最初に理由を言っただろうが。聞こえていなかったのか。だからそんなにも、全くダメージを受けずにおれの視線を受け流すのか。それならもう一度言えばいい。そう思って口を開いたのに一瞬合った目に勢いを削がれる。そんなおれに気付かずに美味しそうと笑って一口頬張る姿にこのまま居座られるのは困ると慌ててもう一度口を開いた。
「嫌いだからだって言っただろ、おれの分置いてとっとと出てけよ」
「どうして?」
「あ゛?」
滲んだ怒気に、そこらの女子どもなら涙を滲ませても仕方がないと経験上から知っている。のに、おれの言葉を気にも止めない。
「私のどこが視界にも入れたくないほど嫌な の?」
「そ、……何もかもが、だよ」
きょとん、と不思議そうにおれを見上げるから思わず視線を逸らした。
「たとえば?」
おやつをつつきながらほんとサンジくんって天才、と頬を綻ばせて投げられた疑問に眉を顰める。
「……今、コックの名前出す必要ねェだろ。そういうとこもムカつく」
「ほかは?」
「へらへらしてんのも嫌いだ」
「ふうん」
言ったそばから、ふふ、と吐息を漏らすように笑うから頭が痛くなる。おれの言葉に何一つ傷付くこともなく、次は、と促すその姿にもムカつく。おれは、お前がそばにいるだけでこんなにも苛々して、鍛錬にすら身が入らなくなるのに。お前はおれの理不尽な言葉や態度にかけらも揺らぐことなく余裕ぶって笑っている。
「とにかく全部、……嫌いだ」
一つ一つ挙げればキリがない。説明なんてしたくない。こいつが視界に入らなければおれの心は穏やかになるんだ。とにかくこいつがここを立ち去れば解決する問題なんだから、響きもしないおれの言葉なんて深掘りせずにとっとと展望台から降りてくれればそれでいいのに。へえ、と間延びした相槌と、くすくすと楽しげな笑い声が響いてずっと逸らしていた視線を思わず向けてしまった。視界に入れた途端にまた落ち着かなくなるからやっぱりお前なんか嫌いだ。ぱちん、と絡んだ視線に息を呑む。
「私はゾロのそういう自分の心すら迷子になってる馬鹿なとこも含めて全部好きだよ」
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