タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/06/21
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「レディ、……その、…………おはよう、今日の朝メシは何がいい?」
同盟相手のいつもおしゃべりなサンジくんがもごもごと口籠もりながら寝覚めのコーヒーを手渡してくれたのをにっこり微笑みながら受け取れば、どこか気まずげな表情が一瞬でとろけるから私も頬が緩んでしまいそうになるのを堪えるのが大変だった。だけどそれも今日が最後。
「ん〜、そうだね、今日でサンジくんのご飯とお別れだけど、だからこそいつも通りがいいな」
お別れ、の言葉を紡いだ瞬間、とろけていたはずの表情が一瞬で青褪め、ひぐっ、と喉が盛大に引き攣った音。それをどうにか聞こえなかったふりをしてコーヒーを飲む。会話は違えど、ほぼ一週間、同じような朝を繰り返してる。何か言いたげなサンジくんと、それをわかっていて受け流す私。
いつも朝が早いブルックさんやロビンちゃんは、たった一日私たちのその様子を見ただけで私たちの攻防を察したのか次の日からダイニングに現れなくなった。一週間後に私の船が迎えに来る。それを伝えてから毎日。七日、口籠るサンジくんと、ただ微笑んでコーヒーを飲む私がダイニングを占拠しているのも今日で最終日。
「レディ、……」
「なあに?」
「い、……いか、……イカ、ウソップがイカを釣ってさ、一晩漬けたら美味いんだよ、その、」
「一晩かあ、」
頑張ってくれてるのはわかるけど、言葉を濁すサンジくんに苦笑する。私の相槌に、タイムリミットが伸びないことを理解してぎゅっと眉間に皺を寄せて俯く姿は悲しい。
一言、たった一言だけなのに。行かないで。そういえば一も二もなく頷いて抱きしめるのに。せっかくふた文字紡げた音は違う形になって、少しでも時間を引き伸ばそうと足掻いて消えてしまった。あと三文字だったのに。行かないで。ここにいて。帰らないで。なんだっていいから引き留める言葉を紡いでくれたらいいのに。そうすれば準備は万端なのに。告白もされてねェのに引き抜きの許可を貰いに来るなんてとんだ自意識過剰な馬鹿女だな、なんてキャプテンに鼻で笑われてまでちゃんと準備をしてきているのに。
大丈夫、迎えの潜水艦が来る夕方まであと5時間ある。一週間かけて言えなかった言葉をたった5時間で言えるようになるかはわからないけれど、きっと、……きっと、大丈夫。まずはあなたが私を欲しがって。そうすれば私はこの先ずっと愛を注ぎ続けるから。自分から飛び込めばいいのかも、と焦れたこともある。だけど我慢しなくちゃ。だって、キャプテンがそれを許さない。キャプテンが許してくれたのは、引き抜きだけだ。自ら船を降りることは許されていない。最初で最後のわがままだから。誰にでも優しく、誰にでも好意を示し、優しすぎるからこそいつも一歩引いてしまうサンジくんが、それでも私が欲しいと手を伸ばしてくれたなら、私はその手を掴んで離さないから。だからお願い。
「い、」
行かないで、と私を引き止めて。
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