タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/06/23
ボツ
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「ゾロの背中はほんとに綺麗だね」
「は?」
風呂上がりに裸でうろついて嫌な顔をされるのは女に限らない。ナミは露骨に嫌そうな顔をするし、ロビンもちくちくと嫌味をぶつけてくる。口煩いクソコックも服を着ろと罵ってくる。別に下が丸出しなわけじゃねェんだからいいじゃねェか。そう思ってはいるもののずっとぴーちくぱーちく騒がれるのは面倒だからあいつらがいる時は仕方なしに言われるがままに服を着る。そんなうるせェ奴らとは裏腹に、一度も嫌な顔もせず注意もしなかった奴とふたりきりの船番。うるさく言われねェからと上の服を着ずに肩に引っ掛けたまま自由気ままに船をうろついて酒をかっぱらおうと思ってた矢先に投げつけてきた言葉に思わず間抜けな声が口からこぼれ落ちてしまった。なんつったこいつ。
「ずっと思ってたの。背中、綺麗だなって」
聞き返すまでもなく再度似たようなことを口にされて首を傾げた。綺麗。おれの人生にはあまり縁がない言葉だ。それにしたって男相手に使う言葉じゃないと思うが。まあでも、褒めてくれようとしてるのは鈍いおれでもさすがにわかる。
「……まあ、……傷はねェだろうけどよ」
褒められたのはわかっていても否定も肯定もできずになんとなく誤魔化すように濁す返事になったのは仕方ない。背中の傷は剣士の恥だ。どんな強敵が来ようとも背中を向いて逃げ出すようなことはこれまでも、これから先もしない。だからって綺麗かと言われて頷くのも難しい。背中がどうなっているか自分ではわからないが、それでも自分の肌の感触はどこも一緒のはずだ。男の肌はどこかざらついている。お前のような女の肌の白く柔らかな綺麗さは持ち合わせていない。
「かっこいいなって思って」
「ああ、それならいい」
綺麗、の単語を受け入れられずにもごつくおれに言葉を変えてくれて口元も緩む。その褒め方は気分が良くなる。別に褒められなくったって生き様を変えるつもりなんざさらさらないが、それでも気分は上昇する。ころりと反応を変えたおれを見て面白そうに笑いながらも、かっこいいよゾロ、と何度も褒めてくるから思わず声を出して笑う。
「そんなに褒めてもなんも出ねェぞ」
「ただ言いたかっただけでそんなつもりはなかったけど、ゾロの笑顔は出たよ。……あっ、なんで笑うのやめるの」
いやそんなこと言われたら表情筋も固まるだろ。途端におれの側に駆け寄って背伸びをしながら口元に両手を添えて引っ張られる。物理的に笑わせようとしてくんな。ぺしりと跳ね除ければムスッと唇を尖らせて可愛かったのにと拗ね出すからたまったもんじゃない。綺麗も大概受け止めにくかったが、可愛いは受け止めにくいとかそういう問題じゃなく、受け止めたくねェ。
「ちぇ……まあいいや。ナミちゃんたちはゾロに服着ろって怒るし、まあ怒る気持ちもわかるけど、私はゾロの綺麗でかっこいい背中見るの好きだから久々に見れて嬉しい」
ころころと表情を変えてにっこり笑われて言われた言葉に息を呑む。そして反射的に肩に引っ掛けていた服に腕を通した。
「あっ! なんで!?」
なんでなんでどうしてどうしてと喚いてまとわりつく女を片手で引っぺがしながら鍛錬も何もしていないのになぜかどくどくと煩い心臓を止めようと服の上から押さえ込むのに必死で何も答えられない。
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