タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/06/30
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「こら」
「見つかっちゃったわ」
うふふ、と笑うロビンは全く反省なんてしていない。びしょびしょに濡れたままの髪の毛を放置して、分厚くて難しそうな本に夢中になっているのを見つけるのはこれで何度目だろうか。とうに両手の数は超えてしまって叱るつもりが呆れた声になって迫力も消え失せてしまう。大きなため息をついてもロビンはその分厚い本を閉じるつもりはなくて、ドスドスと音を立てて歩いて怒っていることをアピールしながらロビンの後ろに回り込む。乾かすつもりはあるのか肩にかかったままのタオルをとってその艶やかな黒髪に被せた。
「せっかくの綺麗な髪がいたんじゃうって何回も言ってるでしょ」
うふふ、と笑うだけのロビンに唇を尖らせながら、柔らかな髪を包み込む。ぎゅ、と頭皮を揉み込むように立てた指にくすくす笑うロビンの振動が伝わって全く反省する気のないロビンに呆れてしまう。
「まさか怒られるのが好きなの?」
「そうよ、わざと怒られてるの」
そんなことないわ、と否定とともにほんの少しでも反省が返ってくるものと思っていたのに、肯定が返ってきて戸惑う。怒られるのが好き? そんな人、この世に存在するの?
「ただ鬱憤を晴らすために怒鳴ってるだけじゃなくて、私のために、私のことを想って叱ってくれているのがわかって嬉しいの」
お風呂上がりのロビンに触っているからか、あたたかく濡れた髪に触れた指先がタオル越しにじんわりと温まっていく。くすくすと楽しそうに言われた言葉はロビンのこれまでの境遇を思えば胸が痛くて、だけどそれを笑って言える強さと私たちの愛を受け止められるようになったことに嬉しくなって言葉が出なかった。過去に戻って理不尽に怒鳴られている昔のロビンを抱きしめることなんてできないけど、今のロビンを抱きしめることはできる。ぎゅう、と後ろからロビンを抱き締めればさっきまで笑っていたのにひゅっと息を呑んで固まってしまって、抱きしめられることに慣れていないロビンに胸がぎゅうぎゅうと締め付けられる。ロビンの肩に額を埋めて、まだ乾き切っていない濡れた髪の毛に頬を擦り寄せる。
「……私が怒りに来なくて、濡れたままの時もあった?」
戸惑うロビンの息遣いがわずかに揺れて考えが正しかったことを悟る。ロビンの控えめすぎる愛しさに胸が痛むんだか自分の不甲斐なさに怒りたいんだか訳がわからなくなって抱きしめる力が強くなってしまうから慌ててロビンの首を絞めないくらいの力に緩めて、色々言いたいことはあるけど一番伝えたいことを口から出した。
「私は、大好きなロビンのこと怒りたくないよ」
びく、とロビンの肩が震えるのも、くっついてるからわかる。きっと離れてたら隠し事の上手なロビンに誤魔化されるくらいのわずかな揺れで、こんなにもぴったりと触れ合える距離感にまで仲良くなれたことにまたじわりと胸が暖かくなる。
「綺麗な黒髪がいたんじゃうし、風邪もひいちゃうかもしれないのに」
「……ご、」
ごめんなさい、とロビンが呟きそうになる唇をそっと指でおさえる。この期に及んで謝罪を口にするロビンはやっぱりわかってない。こんな回りくどいことをしなくたって、試さなくったって、もっと簡単な方法があるのにロビンはそれを知らない。
「あのね、髪の毛乾かして、って甘えてくれたらいいんだよ」
「え」
はじめて聞く間の抜けた声に思わず笑った。
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