タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/07/03
これのクロコダイル視点
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「……なんだね」
「ごめんなさい、なんでもないです、」
女が、じ、っと呆れるほど見つめる先は義手。なんでもないと言うわりに見つめる頻度は高く、おれが義手の手入れをする時は毎度飽きずに眺め続けている。ただじっと、金色に鈍く光る義手にだけ視線を送るその目が鬱陶しくて舌打ちをしたことも何度かあった。それでも懲りずに眺め続ける馬鹿を、おれも眺め続けている。義手にだけじっと視線をやる馬鹿な女はおれの視線の先には気付かない。義手はもう体の一部になっていて、見なくたって手入れは完璧にできる。声を掛ければ一瞬視線はおれを向いて、謝り終えたと思ったらまた一瞬で視線は義手へ。女はきっと同じようにおれも義手へ視線を戻したと思っている。少し小心者の嫌いのある女がおれにじっと見られているのに気付けばこんなふうに大人しくこの場にいるはずもないから、この手入れの時間だけはこの女を遠慮なく眺められる。そんなことは露知らず、今日も女の視線はただひたすらに義手に向かっている。時に好きなものを見るかのように緩み、時に親の仇でも見るかのように険しくなる。ただの義手にそんなふうに表情を変える理由が思い付かずに気紛れに欲しいのか、と聞いてしまったのが今日の終わりの合図になってしまった。すっと視線を逸らされて、おれの方には見向きもしない。そうなれば意味もなく磨き続けていた義手の手入れをする必要もなくていつもの場所へ戻した。左腕を持ち上げてお前ばかり羨ましいことだな、と義手相手に悋気を起こす馬鹿げた思考回路に喉を鳴らした。
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