タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/03/14


 ガツガツしているようで実際は消極的だと勝手に私は思っているサンジくんを観察している。観察対象は島に着いた瞬間、恋はハリケーンを体現させる足取りで島民の女の人に傅いてどこで摘んだのか花を捧げていた。困ったように笑いながら首を左右に振る女の人に、涙を流ししくしくと地面に伏せるサンジくんはやっぱり消極的だなあと観察を始めてたった数分で自分の考えに納得して頷いた。
 正確には消極的というより、優しいだけなんだろうけど。
 女の人を見れば息をするのと同じくらい当たり前にナンパをするくせに、グイグイ行かない。少しでも女の人が困った素振りを見せれば、ああして崩れ落ちて嘆き、諦める。

「変な人」
「れ、レディ、見てたの……?」

 ぽつんと呟いた言葉がサンジくんに届いてしまったのかわりと距離があったはずなのに飛び起きて、バツが悪そうにもじもじしながら近付いてくるから首を傾げる。

「フられてたね」
「あ、えと、……はい」
「すぐ諦めるんだね」
「え?」

 ぽかんと表情も足も止まって私を見るサンジくん。

「もうちょっと押してみればいいのに」
「や、それは、その」
「海賊のナンパなのに優しいね」

 変なの、と改めて言葉にすればおかしくて今度は笑ってしまう。笑われてるのに私が、女の人が笑っていることが嬉しいのか戸惑いながらもホッとしているサンジくんにもはや感動する。

「ナンパする人を間違えないように気をつけてね」
「え?」

 どういうこと?とあどけなく首を傾げる姿が可愛くて目を細める。

「たとえば私とか」
「れ、レディ、そんな、わざわざ追い討ちかけなくたって、レディの嫌がるようなこと、おれ、しねェよぅ……」

 ナンパに振られたばかりのサンジくんのハートは柔らかかったのか私の思ったこととは正反対のことを嘆きながら地面に崩れ落ちたから瞬く。ひぐひぐと涙を流すサンジくんの横に並びしゃがめばうるうるした瞳で私を見上げてきて思わず可愛いなあ、なんて言葉にしそうになるのをどうにか堪える。ダンディな紳士さんを目指しているらしい可愛いコックさんはそんなこと言われても困った顔をしてしまうから。

「違うよ、そういう意味じゃない。私のことナンパしちゃったら、私は断らないから。サンジくん困るでしょ?」

 へっ、と素っ頓狂な声を上げて石のように固まったサンジくんの金糸を何度か撫でて小さく笑った。
 全世界のレディを愛でたいのにたった一人の厄介な人に捕まるのは困るでしょ。だから私のことをナンパするときはそれ相応の覚悟をしてね。