タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2023/03/21 誘う術を教えて・夢でもいい、触れられるのなら・涙、一粒
ロー
※ちょっとうふんな雰囲気
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「これ、どこまではいってるの?」
「これ?」
「いれずみ」
酔ってふわついた言葉と共に体温の上がった指先がおれのハートをなぞって反射的に体がびくつきそうになるのをどうにか意地で耐えた。つ、と臍の上、ハートの一番下まで辿り着いた指が、墨のないところをなぞってズボンに指が引っかかる。
「ても、うでも、せなかも、おなかにもはいってるから、したにもはいってるの?」
くい、とズボンをずらして下着がちらりとのぞいた。慌てたのを悟られないように手で制す。あまりにも下心も何もない、ただ純粋な幼子の悪戯な指をこれ以上好き勝手させないために握り込んで下着をしまった。
「酔いすぎだ」
「よってないよぉ」
「酔った人間はみんなそう言う」
とろけた目に、火照った頬、突拍子のない言動。これを酔ってないと言うやつは見る目のない大馬鹿か、それを好き放題蹂躙しようと企む大悪党だけだ。
「ずーっときになってたの」
とりあえず水を飲め、と手を捕まえていない方の手で口元に押しつけた瞬間喋り出すから口から水が溢れ出て慌てて袖口で拭く。そのせいで解放してしまった手がまたおれのズボンに悪戯を仕掛けるから呆れて天を仰いだ。
「……お前、おれが医者でよかったな」
「ろぉ、おいしゃさんにあうね」
「ああうんありがとう」
にこにこと無邪気な笑顔と言葉とは裏腹に片手じゃなく両手でズボンを引き摺り下ろそうとする不埒な手を上から押さえつける。酔って判断力が鈍ってるせいでボタンやらチャックやらを外すということをせず無理矢理引き摺り下ろそうとするだけだから、ちょっと下着がのぞくだけで悲惨なことにはならずに済んだ。細い手首を一つにまとめあげてまた重いため息をつく。
「ろぉってば」
「なんだ」
「て、はなして」
「だめだ」
離したらまた悪戯するだろ。まあでも、泥酔してはいるものの具合が悪くなったりはしてなさそうで安心する。ただおれのいないところでは禁酒令を出すことにした。これは決定だ。他所様にこんなことをしでかして、大事に守ってきた女をこれ幸いとぺろりと食べられてしまっては敵わない。
「いいから水飲め」
「のどかわいてない」
「医者の言うことは大人しく聞け」
「はあい」
まとめあげた手首は離さず今度こそゆっくりグラスを傾けて水分を摂取させる一仕事を終えた。まあこれだけ飲めば明日最悪な目覚めになることだけは避けられたはずだ。
「ろー、」
「なんだ」
呂律がほんの少し回復してとりあえず安堵する。
「ぬいで」
「だめだ」
酔っ払いに安堵しちゃいけなかった。体全体でおれの手から逃れようとするから椅子から転げ落ちそうになるのを引き寄せて、駄々を捏ねる女を膝に乗せた。下心がないと言えば嘘にはなるが、これ以上暴れられてすっ転ばれて怪我でもされたら面倒だの気持ちの方が強い。なんでなんでとおれの胸元に縋りつきぐずる姿は赤ん坊みたいなくせに、きちんと成人女性の体つきをしているからタチが悪い。アルコールに茹った肌が形を変えておれの肌を圧迫するし、熱い吐息が肌を滑るし、柔らかい尻でおれの太ももを踏みつけるし、微動だにできずに纏められている手首の細さが男の支配欲を擽って、やってることは幼児のイヤイヤ期でしかないのにその体がおれを惑わせてくる。
「みたいだけなのに、どうしていじわるするの」
ぷちん、と細い糸が切れる音がして、我儘が通らないからか涙に潤んだ瞳を見つめる。おれが酷いことなんてするわけないと信じ切った目が、おれがだめだと言わなかっただけで我儘が通るかもしれないと期待していて呆れてしまう。
「……そんなに見たいのか?」
「みせてくれるの?」
ふわふわと揺れながら嬉しそうに目を細めるから呆れてため息をつく。溶けるように緩んだ目尻があまりにもおれを信用していて、その信用に応えようと切れた細い糸を医者のおれが繋ぎ合わせた。お前本当におれが海賊であると同時に医者でよかったな。そうじゃなかったら一番最初にズボンをずり下げられ下着を見られた瞬間に部屋に連れ込んで見たがっていた下半身を思う存分味わってもらってた。泥酔して判断力の鈍った女を鴨だと思わずに介助すべきだと判断のできる医者相手だからへらへらと気持ちよく酒に溺れていられる。
「酔っ払いはもう寝ろ」
これは我儘な幼児だ、そういうんじゃない、と背中に手を這わせて寝かしつけるためにリズムよく叩く。ゆらゆらと僅かに体も揺らして、それのせいでまた柔らかな肌がおれの肌に馴染んでしまったのもどうにか耐えてとにかく寝かしつけることにだけ意識を向ける。ぐずるのにも疲れたのかようやく静かになって俯いた泥酔患者にほっとして、むにゃ、と何かを呟かれたから耳を澄ます。
「ろー、は」
「なんだ」
「ろーはみたくないの?」
「……なにを」
変な予感を察知して、リズムが狂う。肌をくっつけ合っているせいで息を吸う音が直接的に伝わって緊張に息が詰まった。
「わたしのはだか」
熱い息と共に紡がれた言葉がおれの刺青をなぞって今度こそ手の動きが止まる。反射的に見下ろした先で俯いていたはずの女が顔を上げていて、潤んだ瞳が瞬いた瞬間、涙が、
「せっかくがんばってさそったのに、ろーのばーか」
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