タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2023/05/18 サンジ
これだけじゃ足りないのです・舌の先が痺れるほど・いつか君と一緒に
⚠️家族愛
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「おなかすいた……」
ごめんなさい、となぜか謝りながら愛らしい顔をしょんぼりさせてとぼとぼやってきたレディに、今すぐ準備するよとキッチンに駆け込む。朝元気に出掛けて夜にお腹すかせて帰ってきてくれるの、一日楽しく遊べたんだなって胸が暖かくなるから謝ることなんて何一つないのに。相変わらずしょぼしょぼと落ち込んだままカウンターの椅子に腰掛けて、こつ、とお昼に渡した海賊弁当を机に置いた音に更ににっこりした。空っぽの音だ。今日もちゃんとレディの腹を満たせたことに満足して、首を傾げる。いつもなら、全部美味しいけど特にこれが好き、とにこにこメニューについて語らう唇がまたごめんなさいと謝って瞬く。
「あのね、今日のお弁当、私食べられなかったの」
「?」
申し訳無さそうに小さな声で紡がれた言葉に更に不思議に思う。だって、空っぽの音がした。中身はきちんと空っぽになっているのに。
「盗られちゃった、」
「?! 怪我とかしてねェ?!」
慌てて火を止めてキッチンから飛び出て椅子に腰掛ける姿を上から下から見分する。ふるふると首を振る姿を見たところ外傷はなさそうでホッとしたけど、レディの心を傷付けた馬の骨は一体どこのどいつだ。くそ。今日はおれが船番の日だったからレディをエスコートできなかった。なんてタイミングで襲われちまったんだ。くそ。悔しい気持ちを押し殺して、また急いでキッチンの中に引っ込む。あれから随分と時間が経ってる。見えない怪我をしてないかも心配だけど、そこは我らがドクターに任せることにして、おれはコックの仕事を早くしなければ。傷付いている人の腹を早く満たしてあげねェと。止めた火をもう一度つけて調理を再開する。
「盗られちゃってごめんなさい」
「?! なんでレディが謝んの! 謝る必要ねェよ、寧ろおれがついてってあげられなくてごめんね、怖かっただろうに、」
「……お昼食べようと思ったら、見たことないおっきい鳥が、」
「……とり?!」
想像していた悪漢とはまるで違う生き物の名前を出されて素っ頓狂な声が出てまた手が止まりそうになる。
「気付いたらもう盗られてて、どこに行ったかも見えなくて、」
「え、でも」
朝に渡した時と同じように布に包まれた弁当箱は目の前にあって、だけど確かによく見れば布は土埃に少し汚れていたり破れているのがわかる。まさか、もしかして、昼から今までずっと探して、?
「全部食べられちゃってたけど、お弁当箱はちゃんと見つけられた」
申し訳無さそうに謝って、だけど見つかったことが嬉しかったのか目を細めて少し薄汚れた布越しに弁当箱を優しく撫でるように手のひらを置いたレディに目を見開いて呻く。
おれがレディの腹を満たしてあげなきゃいけないのにおれの体いっぱいに愛情を詰め込まれて溢れ出しそうになるのをどうにか堪えることしかできなかった。何か言いたいのに、何かを口にしようとすればぽろりとさっきもらったばかりの愛情がこぼれ落ちてしまいそうで息すらできなくなった。
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