タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2023/07/26 ゾロ
裏切りに嗤う・それでも会えてよかった・恋をしましょう
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「どうしてそんなこというの?」
どんな馬鹿な奴を振っても、見る目のない馬鹿な奴に振られても涙は流さず愚痴を言うだけだった女が、おれがたった一言呟いただけで唇を震わせ言葉を紡いだ瞬間堰を切ったようにぼろりと大粒の涙を流した。今までの分が積もり積もって全て体内から出てきてるんじゃないかってほどにぼろぼろと涙を流す姿をぼんやりと見つめる。
「いままでずっといわなかったじゃない」
ぼろぼろと涙を流しながら責められても反省も後悔も心の中に微塵も浮かんでこないし、やっぱりお前はおれの気持ちに気付いてたんだなという確信に思わず鼻を鳴らす。
「いい加減お前の愚痴の種類も似たようなのになってきて聞き飽きたから」
「最初、から、あんまり聞いてなかった、くせに」
「聞いてたぜ」
ちゃんと聞いてた。一番最初の男は縊り殺したいほどムカついて嫌でも耳に入って脳に刻まれたから名前も誕生日も歳も好きな食べ物や嫌いな食べ物もよく行くデート先も、記念日も、何もかも覚えてる。次のやつの名前も言える。祝う前に別れたからそいつの誕生日は知らないが、振られた日にちは覚えてる。次のやつは名前じゃなくてあだ名しか知らない。他の奴らも全部覚えてる。そらんじてみてもいいが、お前の方がぴんとこないだろ。別れた男の記憶なんて大概消去したいものだろうから。
ひ、と泣きながら信じられないものを見るような目で見られてまた鼻で笑う。
「どうして、」
「トモダチじゃ駄目だから」
ずっと言わなかったのに、と涙をこぼして引き攣る声はおれが遮った。おれはお前が幸せなら誰の隣に立っていてもよかったのに、お前が愚痴ばかり言うから。その愚痴すら変わり映えがしなくなってきたから。もうお前を幸せにできる男を待つよりおれが幸せにした方が手っ取り早い。まあ現状思いきり泣かせてるが。
「い、や……、ゾロとは、ともだちが、いい」
とうとう顔を覆って伏せた姿を頬杖をついて眺める。やだ、と頭を振られても傷付くような精神は今更持ってない。そんなことで傷付く精神だったら好きな女の恋人の話を聞くだけの飲みになんてそもそも来ない。
「ともだち、が、いい、」
「なんで」
「ずっと、いっしょにいたい、から」
「コイビトの方がずっと一緒にいれるだろ」
好きな女に振られながら、それでも心の浮つく言葉を紡がれて口角があがる。ずっと一緒にいたい、なんて好きな女から言われて浮つかない方がおかしい。ずっと一緒にいればいいじゃねェか。今までは間に知らない男が挟まってたが、これからはそいつら抜きで、二人でずっと一緒に。おれの頬の緩みっぷりと同じくらいいやだいやだと駄々をこねる姿をじっと見つめる。
「ともだち、は、わかれない、からずっといっしょ、だけど、……ひっ、こいびと、は、おわっちゃうでしょ、」
友達も終わることはあるだろ。一瞬反射的にそう返しそうになったけど我慢した。きっとこいつが言いたいことはそういうことじゃない。友達に終わりがあること自体はこいつだってわかってるはずだ。
「……お前が終わらせねェ限り、おれからは終わらせねェけど」
「そんなの、……みんな、はじめはそういう」
ちっ、と舌打ちをしそうになるのをどうにか堪える。あいつらと同じような台詞を吐いてしまったことが嫌で、あいつらと同じように約束を違えると思われていることが嫌で、腹が立つ。
「……もし、ゾロが、彼氏になったら、……わたし、誰に、相談したり、愚痴いったり、すればいいの、……相談できる人、ゾロしかいない、のに、どうして、」
ひ、としゃくりあげながら、少しだけ前向きにおれと恋人になる方向性で都合の良いもしもを考えはじめた泣きじゃくる女に腹もおさまる。
「別におれに喋ればいいだろ。溜め込まずに遠慮せず言えばいいし、相談もすればいい。別に恋人になったからって友達の時にしてたことやめなくてもいいだろ」
ひ、ひ、と引き攣る音が少しずつおさまってきて両手から潤んだ目がちらりと覗いて目が合う。不思議そうに瞬けば瞬くほど目に溜まった涙がぽろぽろこぼれ落ちてる。
「……彼氏の愚痴とか相談、彼氏に聞いてもらうの、おかしい、」
「おかしくねェ」
おかしい、よ、と小さく呟くけどおれが自信たっぷりに否定するから自信を喪失して混乱する姿に笑いそうになる。まあ、今のはおかしいと思うお前が合ってるんだろう。
「ともだち、じゃ、だめなの、?」
「お前が全然幸せになろうとしねェから」
「別に今までも不幸じゃなかったけど、……ゾロが恋人になったら幸せになれるの?」
「まあな」
尚も言い切るおれに、とうとうぽかんと間抜けに固まって涙も止まった。ほらな。まあ泣かせたのもおれだけど、止めたのもおれだ。幸せにする自信はある。なんせずっとお前の愚痴を聞き続けてきたから。お前が嫌がることだのお前の理想だのは全部知ってる。お前が覚えていないだろう愚痴も、ささやかな理想も、全部おれが覚えてる。お前の過去の男がお前にやらかしたことは何一つしないし、お前の望む理想のデートやプランも全て叶えてやれる。だからうだうだしてねェでとっとと次の男におれを選べよ。
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